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ヤジと民主主義 劇場拡大版のasobunのレビュー・感想・評価

5.0
抗議の為、路上に一人立つ、一人声を上げる勇気、自分はどうだろかと問いかける。
「黙っているだけでは、権利は気がついたら奪われてしまっている」的な映画の冒頭に提示される字幕に同意してしまう。そんな今の状況に暗い気持ちになる。しかし、抗議の声を上げ、道警に拘束されてしまい、その後、裁判を起こした二人のユーモアの感性の高さがとても良く、それが救い。「最高裁まで行きたい」って笑顔でいうシーンに笑う。道警のヤフコメを参考にしたり、現場を再現するシーンの滑稽さとどうしようもなさにツッコミたくなる。怒りだけでは疲弊してしまうからユーモアの精神を忘れずにいたいと思う。
 非難、批判を過度に恐れるあまりの過剰防衛、忖度、言質を取られない物言い、空疎な言葉、説明責任の放棄、互いの会話の成り立たなさを観るにつけ、最近のテレビの国会中継そのものが現場にある気がし
た。
 簡単に権利が踏み躙らる中で、様々な矛盾、納得のいかなさを諦めずに追求する事の切実さや苦労を実感する。
 迷惑と言う曖昧で都合の良い言葉に覆い隠される排除の構造、同調圧力の息苦しさ、現代社会の様々な問題があの現場で起こっていた。
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