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アメリカン・フィクションのnntmkazuyotaroのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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リッキー・ジャーベイスの『extra』ってドラマがあってだねぇ…というのは置いといて、主人公がスノッブ過ぎるブラックコメディだけど、親切なジョークに大袈裟な演出、この映画自体がブラックコメディの面をした全方位向け免罪符エンタメって構造がいちばんの皮肉。
バカをバカにした内容に内省と後悔が入り混じる。正に悲劇と呼ぶに相応しい喜劇。イッサ・レイの役名に笑う。

文化的素養がいかに大切か、これは黒人や出版業界、ハリウッドに限った話ではない。バカが文化をぶっ壊してる。それでもそのバカたちと一緒に何かを作り上げていくのが社会。
他者と生きるということの本質は、自分と違う人を理解しようと努力すること。それが理解不能なバカでも歩み寄り続けること。それをずっと続けることを“くだらない”とバカにしなければそれでいい。批判的な内容に帰結しないラストが良かった。これはコメディの大前提、笑ってもいいけどさ、シニシズムには陥らないで。
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