うかりシネマ

ゴールド・ボーイのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

殺人現場を偶然撮影した三人の中学生が、義両親を殺した大企業の婿養子を脅迫し、6000万円を手に入れようとするクライムスリラー。
中国の小説が原作とはいえ、邦画には見られない重厚さが底通している。

メインの謎として「婿養子という弱い立場でありながら義両親を殺した理由」と「主人公たちは6000万円を手にすることができるのか」で牽引しつつ、新たな事件を起こして停滞しそうになると気持ちよく揺さぶってくれる。この二つの謎も大枠は最初から分かりながらも決め手となる情報は出さず、何パターンかを想像させてくるので楽しい。
動画による脅迫というシンプルなストーリーには多いくらいの登場人物がいるのもむしろミステリ的に丁度よく、どのキャラも善人としては描かれず異常者まみれなのでいい意味で感情移入ができないまま楽しめる。
岡田将生の嘘を嘘と思わず吐き続ける感じにいかにもな中学生三人、脇を固める人物も厭な演技がよかった。

この手のクライムものってフックを作りつつも最終的には「どちらの悪が勝つか」と「警察がどこまで真相を知るか」だけが気になるわけで、その辺を“終わりそうパート”を何度も作り、持って回って二転三転させたのは冗長だった。ラスト周りがスリムならもう少し気持ちよかったと思う。
ストーリーやキャラだけでなく撮り方や決めの台詞回しにも中国っぽさを感じたので制作でも口出し(アドバイス)があったのだと思うが、それでも日本でこんな映画が撮れたというのは嬉しい。