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エイリアン:コヴェナントのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『プロメテウス』の続編。2000人の入植者を抱えテラフォーミングを目的とする「コヴェナント号」が、事故に遭い船長を失う。冷凍睡眠から目覚めた船員は、偶然捉えた信号を頼りに、計画になかった未知の惑星に降り立つ。

前作でもヘルメットを脱ぐ杜撰なシーンがあったが、それでもエンジニアの技術を描くためだし、本来危険であるというエクスキューズもあった。本作でも同様にヘルメットを脱ぐが、その根拠は惑星の大気組成が地球と似ているからというだけ。
前作でもまだ許されたのはエイリアンの幼体がフェイスハガーのように寄生するというルールがあったからだが、本作ではほとんど空気感染でエイリアンに寄生される。つまり、まともな危機感を持っていればそもそもの物語は始まらなかった。
そもそも思いつきで針路を変えるのも馬鹿馬鹿しいし、前作以上に登場人物は全員馬鹿。
序盤の追悼シーンもやたら長い。一応はそれがラストと円環になるが、円環になったところで何が嬉しいんだよ。

前作では最低限(それがいいかはともかくとして)一作目を踏襲してクラシカルに宇宙船内の密室でエイリアンに襲われたが、本作ではジャングルのような場所で戦うのでロケーション的魅力にも乏しく、空気感染ということもあり、単なるボディホラー・モンスターホラーでしかなくなっている。
前作のようなせめてもの風景の美しさすらないし、前作ラストからの引き継ぎも微妙。

「人間(ショウ)がエイリアンを使ってエンジニアを殺した」であれば円環構造になるが、それをやったのはデヴィッド。
シリーズに登場するエイリアンも「エンジニアの創造物が人間によって偶発的に完成された」ではなくデヴィッドが研究したものだとされ、神秘性は剥がされるし、それによって面白くもならない。エンジニアに作られた人間、人間に作られたアンドロイドという対比も、「対比したから、で?」でしかない。
人間とアンドロイドの違いみたいなテーゼを描けていればともかくそんなことはないし、そもそもシリーズでもアンドロイドがメインに据えられることはない。リドリー・スコットが一人でこのテーマに興奮していただけ。
ラストのやりとりは面白いが、そこが面白かったところで何なんでしょうか。

「プロメテウス」では客が入らなかったのか「コヴェナント」でないのもださい。それなら最初から「エイリアン: プロメテウス」にすべきだった。というか、タイトルもテーマも、まず面白い映画を撮ってから考えるべきでしかない。