しゅんすけ

ゴールド・ボーイのしゅんすけのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.4
「ゴールド・ボーイ」

 平成ガメラシリーズやDEATH NOTEなどの金子修介監督最新作。

 沖縄で家庭で問題を抱える3人の中学生が海辺でたまたま遠くの崖のほうで、何者かが2人を突き落とした映像を記録におさめてしまう。のちに、亡くなったのが沖縄でも随一の大会社の会長夫婦で、現場に居合わせたのは入り婿の東昇(ひがしのぼる)だと知った3人は、昇による犯行とにらみ、映像のデータを消すかわりに、大金を昇に要求しようと計画するが・・・という話。

 いや~、サイコパス、やばい青年を描いた映画として、「悪の教典」や最近だと「Saltburn」や「怪物の木こり」などがありましたが、そういうジャンルものの中でもかなりの傑作だと思いました。

 役者陣がみんな良くて、中学生を演じた3人も映画の後半になるにつれて、どんどん悲惨な方向に向かっていく切なさがちゃんと出ててよかったです。
 特に主人公の朝陽を演じる羽村仁成くんは終盤の展開を考えると
ちゃんと頭がよさそうで何を考えているのかわからないのがめちゃくちゃよかったし、夏月役の星乃あんなさんも朝陽の大胆すぎる行動に加担しつつも、ちょっと不安なところもあってというのが表現されててよかったです。子役を取り囲む、黒木華、江口洋介、松井玲奈、北村一輝などもしっかり助演にまわっていて、作品としてショボく見えない映画にさせていると思いました。
 言わずもがな、岡田将生の「ドライブ・マイ・カー」でも見せた頭もよくて、かっこいいんだけど、胡散臭い感じが存分に活かされていて最高でした。

 惜しむらくは、やっぱりポスターとか題字とか予告編など、宣伝があんまり作品の雰囲気とマッチしていないという印象を受けました。
 宣伝的にあまりストーリーを語れない分、難しいのでしょうが、魅力が伝わりづらく、案の定興行的にも苦戦してるとのことでもったいないなと感じました。あと、倖田來未のEDも別に作品の内容とかと重なってるわけでもなくて、EDと最後に出てくる映像で、急に安っぽくなっちゃったという印象を受けました。

 ストーリーや演技などは邦画の中でもかなり上位の出来だと思うので、興味ある人は観といて損ないと思います。おすすめです。