しゅんすけ

PERFECT DAYSのしゅんすけのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
「PERFECT DAYS」

ヴィム・ヴェンダース監督が東京を舞台にとったドラマ。
役所広司主演で、トイレ清掃員のほのぼのとした日常を描いた映画。

僕はジム・ジャームッシュ、アダム・ドライバー主演の「パターソン」が何も起こらないのにずっと永遠に観てられる不思議な映画で、人生ベスト級に好きなんですが、本作もそれに匹敵する映画でした。

1日の行動が完璧にルーティン化されていて、玄関にもっていくものをきれいに整列していたり、朝に必ずBOSSのカフェオレの缶コーヒーを買っていたり、スカイツリーを通過するタイミングで音楽をかけ始めたりという日常の繰り返しがずーっと心地よく、とにかく癒しでした。

そんな一見すると退屈しそうなストーリーの中でも、おそらく浅草近くと思われるボロアパートに住んでいる主人公・平山の家に突然妹の娘が家にやってきたり、たまに通うスナックのママ(まさかの石川さゆりが演じている)への片思いの結末とか、ちょっとザワつく出来事があるので、最後まで退屈せずに観ることができました。

役者陣も役所広司はもちろん皆良くて、家に押し掛ける妹の娘役の中野有紗さんもよかったし、柄本時生さんの「こういうだらしないやついるわ~」というダメな男役も素晴らしかったです。

劇中に登場する公衆トイレが異様におしゃれで気になったのですが、調べて見ると本作に登場するトイレは「Tokyo Toilet」というプロジェクトで設置された安藤忠雄さんなど建築家やデザイナーが設計に携わった渋谷区にあるものとのこと。鍵をロックするとガラスが曇るトイレなどすごい気になったので、渋谷にいく機会があったら観てみたいかなと思います。

ほんとに124分、スローなペースで進むのですが、永遠に観てられる映画でした。大好きな1本になりました。