しゅんすけ

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニーのしゅんすけのレビュー・感想・評価

4.5
「ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー」

Netflixに加入しなおして、気になったので鑑賞。
グラミー賞アーティストである、ジョン・バティステのカーネギー・ホールでの公演準備と並行して、癌と闘う奥さんとの生活を描いたドキュメンタリー作品。

僕は洋楽に疎いのですが、調べたらジュリアード音楽院の修士課程を終えた後、ストリートでのバンド演奏活動を経て、デビュー。映画「ソウルフル・ワールド」の音楽をフィンチャー作品でおなじみのトレント・レズナーとアッティカス・ロスとともに手掛け、2021年「We Are」でグラミー賞の年間最優秀アルバムを受賞という、エリートかつ順風満帆のキャリアにも見えるんですが・・・

彼の奥さんであり、作家であるスレイカ・シャワードがガンを患っており、病室を訪れ看病をし、公演の準備をし、バンドメンバーを励ましつつ、コンサートやグラミー授賞式で圧巻のパフォーマンスを披露し、喜びも束の間、また奥さんの病室を訪れ、衰弱している彼女を励まし・・・という生活の繰り返しから、バティステの苦悩が垣間見えて、すごく人間的に好きになりました。

ラストはカーネギーホールでの公演が描かれるのですが、音響トラブルが発生したとき、復旧までの時間稼ぎで即興のピアノ演奏をするところは圧巻でめちゃくちゃカッコよく、それまでのドキュメント映像がフラッシュバックで挿入され、それはもう問答無用で涙が出ます。

途中でお師匠さんからピアノ演奏について、「呼吸をするように演奏しなさい。そうしないと機械みたいになっちゃうから」と諭され、それがラストのアドリブ演奏で完全に再現されるところとか、構成的にも見事だと思いました。

鑑賞後、YouTubeMusicに「We Are」をダウンロードして聴いたのですが、めちゃくちゃ耳心地が良く、朝通勤時に聴くのにピッタリでした。音楽あわせてめちゃくちゃおススメの1本です。