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青春18×2 君へと続く道のmiuのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
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台湾はもちろん、ベトナムなどでヒットしているのは南国で雪が降らないからというのもあるかもしれないなあ。ジミーと一緒に日本を旅をする感覚になれるので、その感覚を味わえるのいいなあと思ったり。「ひとやすみはより長い旅のため」という言葉も印象的だった。香水の名前のように"時の流れ"を感じながら、記憶を旅するなかで自分の気持ちを整理していく。そういう時間が必要な時が人生にはきっとあって。私自身、留学をしていた時に一人旅をしてはじめましての人と何人か友達になったりしたなと思い出してた。今よりもっと自分のことに無知だった時期。いろんな人と関わるなかで変えられないじぶんの核をいい意味でも悪い意味でも実感するなどしていたな、などと思い出したり。何が言いたいかと言うと、一期一会の旅の醍醐味を思い出させてくれる作品ということ。
夢を叶えるまで会わない、夢を叶えたら会おう、それまでがんばってがんばりまくると言うアミの夢は…って考えてると涙が止まらなくて。「旅をつづけること」を人生のテーマにしているのも「自分を確かめる旅」と旅の目的を語るのもね……。ジミーと出会って希望や願いをみつけてその夢を叶えるために離れたのだと思うとさらにグッとくるものがあった。
藤井監督はコロナ禍で会いたい人に会えなかった苦しさなども反映していると言っていて、18年後という設定だけれど、海を越えなければいけない場合なかなか会いに行けない状況が色んな人に起きていたよなあと改めて。その間に果たせなかった約束もきっとたくさんの人にあって。直接的には描かないけれどそういう人たちに寄り添いたいという考え方が優しくてすごく好き。スクリーンに人間性もでてるよう。そんな藤井監督がずっと気になっていた道枝くんに声をかけて日台合作の作品を撮ってくれたのが何よりしあわせで感無量。彼の名前がエンドロールから流れるたびにその文字が滲んで、素敵な人と素敵な作品に出会えていい仕事をしていることに胸が熱くなった。これからますます銀幕が似合う俳優さんになるなと。絶対レッドカーペット歩こうね。(オタク感情失礼)

ラストにかけてだけど、"世界中を旅して自分にしか描けない絵を描く"という彼女の遺志をジミーは人生という旅のなかで繋いでいくんだろうな。「風を切り走る列車の窓から外を見てる その景色の中にみつけたんだ 君が僕に残した希望のサイン」の歌詞にそれを感じた。青春に別れを告げる清々しい切なさが「さよなら僕らが果たせずにいた約束 君の想いを切ない願いを ずっと手放さずに抱きしめて生きよう」にも詰まってて、桜の景色とともに耳にながれてきた。
個人的に映画の中でいちばん泣いたのがエンドロール。行間や表情で語られていたジミーの心の想いがアミへの“ラブレター”として綴られているのがこの記憶の旅人だったから。ふたりの青春の記憶にあるミスチルで旅を締めくくるあたたかさ。ふたりはあの時何の曲を聴いていたんだろうってずっと考えてるよ。
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