井中カエルand物語るカメ

青春18×2 君へと続く道の井中カエルand物語るカメのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.0
#青春18x2
とても好きな藤井作品でした
もう1本見る予定だったけれど、余韻を大切にしたくてそのまま帰っちゃうほど

人生に羅針盤が欲しい時がある
だけれど自分の現在地がどこなのか、何を指針にして欲しいのかわからなくなった時、人はどのように動けばいいのだろうか
今作ではその答えを、旅という距離と過去という時間を辿ることで探しました
主人公のジミーくんの気持ち、すごくよくわかってまるで自分ごとのように鑑賞していました

ボクは喜怒哀楽で”哀”の感情を最も大切にしているので、藤井道人作品は人生における哀しみを感じさせる作品が多く、今作もその1本でした
その哀しみは「悲しみ(誰かに傷つけられるとか)」ではなく、ただ生きていくだけで心のあちらこちらに積もっていくものです

台湾パートは物語を中心に魅了し、日本パートは映像を中心に魅了する、その結果として登場人物たちの心情を表現し、同時に「藤井道人」という人間がどのように変化し、生きていくのかを語りかけた作品だと解釈しています

今作はミスチルが多くフューチャーされていましたが、ボクの頭の中にはBUMP OF CHICKENの名アルバム『ユグドラシル』が流れていました
『レム』『車輪の唄』『スノースマイル』を経て『fire sign』 そして最後に『ロストマン』に至る流れを思い出し、帰り道を歩きながらこの名盤を聴き歩きました

前作の『パレード』の姉妹編とも言えるテーマの共通性も含めて、語りたいことがとても多い作品ですね