井中カエルand物語るカメ

キッドの井中カエルand物語るカメのレビュー・感想・評価

キッド(1921年製作の映画)
4.0
キッドを観ました
さすがはチャップリンの初期の名作、1時間以内でこれだけ完成度が高い作品を現代でも観てみたいと思うほどに発見が多い作品ですね

映画史にも残る作品ですが、やはり初の子役スターと言われているジャッキー・クーガンの圧倒的な演技力が光る作品ですよね

またチャップリンがこの後の作品でも共通する人道主義、あるいは資本主義に対する反感などのテーマも入れながらコミカルな笑いと涙を誘うバランス感覚も見事です

まず出だしからして完璧、捨てる親がいれば拾う親もいるという形を作り、なぜチャーリーが育てるのかの説明も完備、そして様々なドタバタを経て警官や巨漢に立ち向かえないチャーリーが子どものために大立ち回りを繰り広げるシーンには涙も出てくる

本作制作前に幼い子どもを亡くしたこと、そして自分の不遇の子ども時代を反映していることもあって、力のこもりようが感じられますね

明らかに『街の灯』にも通じる展開が続きますが、今作で1つだけ欠点があるとすれば『街の灯』という映画史に残る見事なラスト知っていると、今作のラストがかなり軽く見えてしまう点でしょうか
もちろん今作の方が制作が前なので当然といえば当然ですが、この辺りも時代を経てから鑑賞すると面白いものですね