暑さと体調不良で1ヶ月ほど感想お休みしていましたが、少しずつ復活していきます。
2022年の東京フィルメックスで見逃して以来、ついに一般上映されて、初日舞台挨拶回を観に行きました。
旅行会社の仕事で郊外の町を訪れた主人公が、川辺で水切りをしている男と出会い、微妙な距離感の中展開されるお話。
ストーリー性は極薄なのですが、二人の思惑の違いを感じつつ、川遊びを楽しんだりする中での身体表現のしなやかさや自然の演技の切り取り方が随所にあって、その演技演出の奥に見えるものの奥深さを感じさせる余地があるのが、大変良かったです。
表面上の同調と本心の差違が、観る側が微笑ましい光景と見えないことの危うさを常に感じて、ストーリー性が薄くてもその動向から目が離せなくなるのは、素晴らしかったです。
上映後のトークでは、主演の小川あんさんが、4年前の撮影された今作の経験がその後の演技への転換点となったとこを話されていましたし、共演の加納土さんや監督との関係性のフレンドリーさも、製作環境の良さを感じられるものでした。
インディペンデントで小規模な作品であることを差し引いても、日本映画として小さな世界を発信していくことの自然体の中で、人間の内面を内包した作品性の鋭さが、海外で評価される理由だと思いますし、このままのスケール感で発信していくことが日本らしさの無理ない表現であるとも感じました。
舞台挨拶時の写真はブログにて
https://ameblo.jp/hinomoto-hertz/entry-12868616706.html