柏エシディシ

Renaissance: A Film by Beyoncéの柏エシディシのレビュー・感想・評価

Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)
3.0
師走の映画締めは音楽映画やライブ映画にするのがここのところ恒例になっていて、2023年はコレにしました。
ビヨンセ「RENNISSANCE」ツアーのライブ映像に、ツアードキュメンタリーやインタビューを挿入した構成。
ライブ映像も複数の公演のフッテージをコラージュしており、パフォーマンス中に装いもバンバン変わったり、所謂"ライブ感"は全体的に薄い印象で、そこはガッツリ「ビヨンセのライブ観るぞぉ!」という意気込みで臨んだ自分としては少し肩透かしだった。
まぁ、そっちが欲しければ決定版としてNetflixの「HomeComing」があるしね。(ってか、そっちを映画館で掛けてくれても良いんだよー)
もちろんパフォーマンスは一級品。アガりまくる。
アレサ・フランクリンが偉大なのは、彼女が歌い出すと、ブラックアメリカンという出自をもちろん起点としながら、その枠組みすら越えて、より広い人類愛みたいな深みを表現出来てしまう事、と誰かが言ってましたが、ビヨンセもその域に限りなく近づいていると実感出来る。
「みんなのために"Space"を作ってあげたいの。それが究極の目標」という言葉が印象的。

それと同時に、そのクオリティコントロールに要するエネルギーの膨大さと、"ビヨンセ王国"の女王としての責任とプレッシャー、パフォーマーとしての肉体的ピークと確実に来る衰えにも、率直に本作では語られている。
今がその全盛期である事、彼女もどこかそれを達観して悟っている様な様子もしっかりドキュメントされている。
めちゃくちゃお金の掛かったホームビデオの様で、地に足のついたひとりの女性として自らを、時にすっぴんで語るビヨンセ。
彼女も超人じゃない。
今その全盛期に時代を共有出来るのは幸福なことだ。
柏エシディシ

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