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虎の子 三頭 たそがれない
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『虎の子 三頭 たそがれない』に投稿された感想・評価

TOKYO AIDS WEEKS 2023とノーマルスクリーンの共同企画。

ラビアナ・ジョローさんの司会進行および解説が素晴らしかった。実際のサンパウロの雰囲気や作中の小ネタ、「インターセクショナリティ」というフレーズなど、あれだけ込み入った作品だったのに触れてほしかったところはほぼ触れてもらえた気がする。お名前で検索したら良いインタビューがたくさん出てきた。そもそも素晴らしいイベントではあったけどラビアナさんの仕事がそれを2倍、3倍に膨らませたと思う。今まで見た映画のトークイベントで一番良い部類のものでした。ありがとうございました。

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※どうしても具体的な内容・モチーフに触れざるを得ない作品なので観賞した方向けの感想になってしまいます。ご注意ください。

近未来、資本主義と記憶を失わせる「ウィルス」が跋扈するブラジル サンパウロで様々なクィアたちが交差する。

ちょっと何から触れていいかわからないくらい要素の多い映画だった。
序盤、撮影は基本フィックスで捉えるべきところを捉えた堅実なカメラワーク。大きな公園や市場、行き交いの多い道路に高架下のグラフィティなど、サンパウロの今を切り取った映像として申し分ない。言及されているもの(たとえば手に持ったままの写真など)をじわーーーっとフェードで見せる演出も面白かった。しかし中盤の展開からガラッと雰囲気が変わってカメラも手持ちで所在なく動き始め、ある種支離滅裂な映像が文脈を無視して繰り広げられる。これが登壇者の風間暁さんいわく、ドラッグ使用時の幻覚にかなり近いらしく(特にジャングルから迫ってくる自らをジャガーと名乗る女性)このパートはドラッグムービーとしても高水準のものであるとのこと。「420」が大麻の隠語であること、知らなかった……!そしてこのパートが終わるとまた堅実な撮影に戻ってくるんだけど、そのメリハリが良かった。ちゃんと撮影に気を遣っている人なんだなーって感じがして。
音楽に関して。劇伴は2〜3曲を使い回す形だったかな?金属音が目立っていた印象。場面転換のたびに流れていた珍妙なSEは、もしかして近未来感の演出……?これまた金属音のイメージ。中盤のドラッグパートでは歌曲が多くバンドネオンの情熱的な?使い方も見たことがないものだったりして面白かった。各々が各々のかたちで絶頂を迎えようとするシーンはちょっとエブエブの「変なことジャンプ」を思い出したけど、若干のギャグ目線はありつつそこに至るまでの当事者目線が充実してたからエブエブほどは白けなかったな。ラストの歌は言葉遊び的な要素が多い歌詞(であることがわかるように邦訳してくれている)だなと思ったけど、実際タイトルの『虎の子 三頭 たそがれない』は早口言葉らしく、童謡的なテイストが強い曲だったのかな。でも歌詞の内容的にはジョナタの行く先を祝福しているような、そんなニュアンスもあったようななかったような。良い〆だったことはたしか。

ここまででガワの部分しか言及できてない……。内容だとクィアがそこかしこに当たり前にいる前提で作られているのでノンストレスだった。俳優の名前がそのまま役名になっていたのでおそらくは当事者キャストであろうという点も大きいと思う。ペットショップ店主のドラァグクイーンのあの人は名優ですね。なかなかないシチュエーションだけど突飛すぎず抑え過ぎず、絶妙な塩梅の演技だった。
またセクシュアリティだけでなく人種、年齢、疾病(HIV)などにおいても当事者間で無限のグラデーションがあることを前提としている作品で、特に美容系インフルエンサーの人と話す「広場の名前」についての会話は短く絞ったテーマの中に伝えたいことが凝縮されてて唸った。元々抽象的な会話なのか翻訳のクセなのか、意味を把握できないやりとりもいくつかあったけど、最後まで見たら「これ一回で見て理解するのは無理だな」っていう情報量だったので逆に諦めがついたのもたしか。
またよくよく考えると、多面的で情報量が多い反面、ちゃんと布石も置いていく作品だったような気もしている。たとえば「黄金の局面」というフレーズが序盤から度々出てきてたけど、あの子どものゴールデングリッター嘔吐およびエルトン・ジョン化(これまた風間さんが指摘するまで気づかなかった)がその訪れで、ドラッギーなパートも単に幻覚というよりはそうであってほしい未来のビジョンというか、役名はわからないけど亡くなったであろう人(誰かのパートナー?友人?)が「ここに時の概念はなく、つまり死もない」と言っていた通り、あの世界にはペドロの恋人だったリチャードも生きていてジョナタもドラァグクイーンとして返り咲いていてペットショップ店主のドラァグクイーンも縦横無尽に歌い踊っていて謎のジャガーも飛び出して、とクィアな空気が充満していたから「クィア・ユートピア」って雰囲気だった。そして幻覚が解けた後で、ジョナタのウィルスが「忘れた」ことにより安全な数値まで減少していたどころか、何故か診察の内容をイザベラとペドロも知っているという現実ではあり得ないことが起こっていたので、ジョジョ6部の世界一巡みたいな何かが起こったんだと想像した。まあ6部でのあれ(「覚悟」できる世界)は結局否定されるのでそのまんま比較しちゃダメなんだけど……。だから単に突拍子もない脚本なんじゃなく実はしっかりと練られた上で監督の「こうであってほしい」が詰め込まれた展開だったのでは?という一つの考え方。

また当然コロナ禍に撮影されたコロナ禍を題材にした映画でもあるんだけど、ペドロの顧客の家での一連で「うちではマスクなしだ」と男性が言った後のシーンでもイザベラはマスクつけたままで回し吸いを拒むところとか、劇中何度も手指と口腔の消毒(同じ液体で消毒できんだろとは思ったけれど万能な液体が開発された近未来なのでしょう)が挟まれるところとかは良かった。ただ実際に症状として存在するブレインフォグをギャグにしたり(広場で会った彼とのやりとりは少しだけロマンチックだったがそういう展開に使っていい症状か?)古道具屋の店主の感染対策を面白おかしく見せてる点はあまり受け入れられなかった。まだコロナ禍全然終わってないので。
ペットショップでの一連も一見興味深い会話ぽかったけど、そもそも生き物を売る場所だということへの批判的な目線がなかったように思う。「種差別」がどうたらという話はそこまで踏み込んでなかったよね?犬や猫を飼うにしても保護犬にしよう、という潮流は日本にもあるし大量にインコや金魚が押し込められているケージ・水槽の映像は何かのメタファーとして機能する前に「その状態自体が良くないんですけど!」と思ってしまうっていう。
一番無理だったのはペドロと顧客の男性の性行為。たとえセックスワークの一環だったとしてもあの年齢差に何のエクスキューズもないのはあり得ない。風間さんが指摘していた通りどさくさ紛れに料金を値切ろうとするところに批判の目線を見出してもいいかもしれないけど、少し足りないと感じた。介護のニュアンスまで混ざってたのでうやむやになりそう感あったけど、あれはやっぱりダメ。映画の撮影プロセスとして考えても危うい。お互いが同意していればいいという話の前に年齢や金銭、サービスを提供する側と客など様々なパワーバランスの偏りがあるからな……。

最後にアンパンマンを模したパンが出てくるシーンについて。たまたま最近劇場版のアンパンマンを見進めていて、予告にアンパンマンパン(?)が出てきたのもこの作品に興味を持ったきっかけの一つだった。
アンパンマンは「人を飢えから救う」っていう至極シンプルな目的を持ったキャラクターであり、たぶん世界的にも類を見ないヒーローだと思う。そのアンパンマンがこの映画でああいう形で、つまり実際に食べ物として登場したということにビジュアルのキャッチーさ以上のものを見出したい。ネズミ小僧みたいにお金を還元するとか勧善懲悪が主な目的ではなく「飢えた人の空腹を満たしたい」ヒーローなので資本主義へのアンチテーゼとしても有効なのでは?資本主義がのさばる世界に差す一筋の「善意」という名の光明だ!

LALA

LALAの感想・評価

3.9
TOKYO AIDS WEEKS 2023
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ノーマルスクリーン

後半ずっと笑ってた。

「キラキラはプライドだから」ってラビアナさんが。
よかった…