ふじこ

Mr.マーベラスのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.マーベラス(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ショッピングモールで泣く子供を抱きながらサンタの扮装をする男。
報酬を貰って、もう誰かのフリをするのは嫌だ と呟きながら報酬を貰って家へ帰る。
誰も居ない家に届いていた、クリスマスに開けるように と書かれた箱を放り恐らく娘へ明日の予定を尋ねる留守電を入れる。
そしてシャワーを浴びていると、誰かが家に侵入した気配。出て行け と大事にしたくなくてバスルームから念じるも、若い男女の窃盗犯は壁に掛かった社会貢献に感謝する書状などを見て、奥の部屋から紫色のタイツスーツを持ち出す。
お宝だぞ!とはしゃぐ若者の後ろに現れ、全部置いていけば忘れてやる と宣言する主人公。

咄嗟に殴り倒し、ただのジジイだ!と粋がり、彼女に家に届いていた箱を持って出るように促す。
それと同時に娘から留守番電話に着信があり、自分の子供達を言い訳にまだパパには会えない事、でもクリスマスプレゼントを送った事を話す。
それを聞いて箱を男に投げ渡すと同時に、主人公の拳が紫色に輝き、形勢逆転して若者を殴りつける主人公の姿。
謝りながら逃げる若者の手にはあのスーツ。
俺のだ!と言って、残された下半身だけの紫タイツを履いて追い掛けるものの、途中で力尽きて倒れてしまう。

そこへ紫色の光と共に、例のスーツを着た男が現れて"心配ない 今度捕まえてやる"と言って主人公の手を取る。
"今 じゃなくて今度なんだ…"と思いつつ、家へ戻り謎パワーでふっ飛ばされた強盗の女の方が救急車で搬送、主人公は警察官に犯人の特徴を話し、自分がMr.マーベラスであると名乗るものの、80年代のヒーローですよね それなら強いし空も飛べるのに なぜ通報を?と訊かれてしまう。
それに答えずに下を向くと、気まずそうに 長い夜でしたね、メリークリスマス と言って警察官は去っていく。

煙草を吸いながらふと思い出した娘からのプレゼントを開けると、メッセージカードと一緒に現役時代のMr.マーベラスのフィギュアが入っている。
目を輝かせて笑顔でそれを手に取り、紫色に発光する謎のパワーで浮かせながら微笑む主人公。


シャワーに入る前に見える背中の大きな傷、そして初回は何をやっているのか分からなかった、歯ブラシへのお試し念力?
最後まで観て、もう一回観たらヒーローだったのは過去の栄光であって、今はただのお爺さんに片足突っ込んだ男として描かれているのが分かる。
おハゲだけれどとても精悍な顔つきをしていて、若い頃はカッコよかったんだろうな、ヒーローだったとしてもおかしくはないなって感じの主人公が良かった。
自分の危機に瀕して、かつてのパワーが蘇ったのかなあ?一人で試した時にはもう使えなかったパワーを発揮して強盗を殴るのだけれど、結局空も飛べないし息が上がって取り逃がしちゃう。
娘との確執も詳しくは語られないけれど、過去の栄光・栄華、今の自分、そういうものを"そういうものなんだ"と受け入れた上での笑顔だったような気がして、年を取るって悪いことだけじゃないよなぁってなんとなく思う。
過去があって、例えばそれを悔やんだりする時があったとしても そんな過去を経て今の自分があるんだ って思える事って素敵なんじゃないかなぁと思う。難しいことだとも。
ふじこ

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