花火

毒娘の花火のネタバレレビュー・内容・結末

毒娘(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

かの傑作『ミスミソウ』に比べると流石に弱いものの、充分水準は超えている良作である。というか、ある意味で三宅唱『夜明けのすべて』以上によくこれ商業ベースに乗せたなというくらい、子どもの残虐さ/男のどうしようもなさ/気色悪いホラー/百合要素など内藤瑛亮の趣味性が思いっきりドバドバなのがすごい。例えば冒頭の犠牲になるカップルが家に入ってくるシーンを階段上の待ちポジで見下ろすように撮っていたのが、最終幕でちーちゃんの階段落ち=オチに繋がっているのが上手いとか、そもそもファーストショットの空き家を写した引きの絵と右でビニール袋が風で転がり左で例のカップルが歩いてくるという画面構成が秀逸だとか、しっかり作られているのが伺えるのが良い(それだけにハチのCGだけはどうしても安っぽくて惜しい)。ミシンがけをしているときカメラがゆっくりズームすると窓の外にちーちゃんが現れる、外に干した白いシーツが風でめくれるとその向こうに赤い装いのちーちゃんが居るというようなクラシカルなホラー演出と、ザ現代映画な竹財輝之助演じる父親の有害な毒親っぷり(タイトルは『毒親』の方が適切ではと思うほど)との使い分けが絶妙。あれだけコーラをバカスカ飲んでゲップ出ないのかと当然思うわけだが、それが繰り出されるシーンには、実は内藤瑛亮ってホラー云々というより百合をいちばんやりたい人なのではと勘ぐったり。
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