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映画 ○月○日、区長になる女。のasobunのレビュー・感想・評価

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選挙は「フェス」って言うポジティブさは理解できても、候補者の中から「よりマシな候補」を選ぶという、なんか消極的で納得のいかなさ。「よりマシな候補」という消極的な態度で民主主義を任して良いのだろうか?自分たちが、任せて、見守って、支えていく為には、「より推しな候補」って言う積極的な言葉を使う事から始めないと現状を変えていく事って相当難しい、道のりは果てしない。民主主義舐めたらあかん!って思う。しかし、今回それを実現したのが杉並区の市民の方々だったと思う。住民の生活道路、自然豊かな場所を潰して道路に変えようとする区の政策に抗議する市民の方々、それぞれに個性的で魅力的。お年寄りもパワフル。如何に自分たちの政策を実現してくれる候補を選ぶか?岸本さんに白羽の矢が立つ。投票日まで残りわずか、何もかもが足らず、準備不足、住民との交流から生まれる試行錯誤、イヤフォンがぐちゃぐちゃに絡まるほど複雑な事態、考え方のズレ、苛立ち、葛藤、暗中模索の日々、それでもやるしかない!映画で見る以上に大変な苦労が双方にあったんだろうと想像する。
自分たちの事を自分たちで決める事が如何に大変かと実感。選んで終わりじゃなくて、その後を見守り、支えていく事の大変さ、他人任せしない事。兎に角民主主義を実現するって相当ややこしいし、面倒臭いし、手が掛かる赤ん坊みたいで、正直しんどい。でもそれを維持していかないと手放すのを虎視眈々と狙ってる奴らの思う壺。
住民説明会も碌にせず、区報で告知するだけ、70年前から決まっていた事だからという横暴さに呆れる。東京23区の杉並区で起きている事って、沖縄とかで強行されようとしている事と似ている気がする。
前半の岸本さんの要領を得ない拙い演説、硬い表現が後半ではわかりやすく、自信を持って身振り手振りで訴えていく姿勢に変わって、顔に自信が漲って、こういう人に任せたいと思ったし、その後に続く人々の存在が心強い。民主主義ってこれだと感じられる作品だった。見終わった後、杉並って良いなって事じゃなくて、自分の街はどうなのか、あなたはどうするって問いかけている作品。誰もが当事者。
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