回想シーンでご飯3杯いける

ありがとう、ごめんねの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ありがとう、ごめんね(2023年製作の映画)
4.0
まず、原題を直訳しただけの邦題が良い。変な副題を加えなくて正解。

出産直前に夫が突然死し、親と絶縁状態だった主人公は、頼れる相手もおらず孤立状態に。そこに、予てから仲が悪かった姉が久々に訪れる。

唐突な展開から始まるストーリーと、非常に個性が強い姉妹。正直言って最初はどういう目線で見れば良いのか困っていたのだが、登場人物を絞った構成が功を奏して、後半はグイグイ引き込まれる。

よくよく考えてみると、男は殆ど出てこないし、出てきたとしてもロクな奴じゃない。女性同士だからこそ分かり合える部分と、分かち合えない部分の対比を軸に、もつれた糸を解くように展開する脚本が素晴らしい(監督も女性)。クズ男でも許してしまう姉に落胆する妹。でも、その姉の優しさが妹を救い、妹の賢さが姉の人生を変える事もあるのだ。

北欧のマイナー作品で、知っている俳優は1人も出てこないけど、だからこそ、作品世界にどっぷり浸れる。海外のマイナー作品の楽しみ方で結構大事な部分を久々に感じた秀作である。こういうのが出てくるから、Netflixは侮れない。