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テルマ&ルイーズ 4Kのvanのネタバレレビュー・内容・結末

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

えっリドリー・スコット監督、ヤバくね?!

「エイリアン」「ブレード・ランナー」
強烈なSF表現とヴィジュアルが印象的な監督です。
そんな監督の持ち味をかなぐり捨てて、違った作風で楽しませてくれました!


まず4Kリマスターの映像が、とても輝いて綺麗でした!
キラキラ煌いて彩度も高く、自然の彩りが鮮やかに目に焼きます!
特に中間色の色彩が華やかで、主人公2人のキャラとマッチしていました!


さてこの映画、少し恐怖を感じました。
この恐怖が、リドリー・スコット監督の凄みの様に感じます。

テルマの性格が、序盤すごく頼りないんです。そのせいで、ルイーズとの関係も悪化してしまいます。
しかし、ある出来事からテルマが奮起して犯罪を犯します。

自分の行動で成功を手にした喜びからか。
そこからテルマは豹変します。
その豹変ぶりに落差を感じて、まず怖さを感じました。
さらにここから、テルマはどんどん輝きを取り戻して行くんです!

輝きを増せば増すほど、引き返せない片道道路を邁進していくのが、皮肉にも如実に伝わってきます。
そしてあのラストに繋がっていきます。
喜びと切なさを同時に味わえる過程に、恐怖を感じました!


それに加えて、しっかりと用意されたカタルシスの要素が、これまた憎い!
夫の束縛、ハメを外し過ぎのしっぺ返し。
序盤では、視聴者にストレスを与えるイベントが用意されています。

テルマの成長と合わせて、払拭するシーンも多いです。
テルマの夫への切り返しや、警官をやり込めたり、トラックの爆破シーン、警官とのカーチェイス!
これらのシーンは非常に痛快で、観ていてスカッとします。
しかしカタルシスを感じれば感じるほど、魔の口がどんどん大きく開いて行くのを、我々は感じます!

この不思議な感覚は、ラース・フォン・トリアー監督のある作品に似た、痛快とやり切れなさを感じました。

抑圧と解放、奔放と成長、共感と痛快。
要素の巧みなバランス力は、もう流石としか言いようがありません。


テルマが覚醒してから、彼女は一度たりとて現状の不満を口にしません。
それどころか、こんな事態になったのにも関わらず、ルイーズに感謝の気持ちを口にします。
その口ぶりからお世辞や上辺の取り繕いでは無い事が伺えます。
本当の自分の気持ちに、出会えたんでしょうね。


ラスト、2人は手を取り合って、自由の向こう側へと駆け抜けていきます。
我々視聴者からも解放されるラストアクションに、もう言葉は出ませんでした。

「あんたは最高ね」
「あんたも最高よ」
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