水のないプール、その中に外から飛んで堆積したたくさんの砂がそれぞれ何を指し示しているか、そしてその中で登場人物がどんな行動をして、どんな言葉を紡ぐのか。
いやー痺れた…という気持ちと、
ゴメンね…という気持ち
言われた通りに掃除する子、砂の上だろうが構わず水泳の練習をする子、掃除にやる気を見せずサボってメイクしている子、善意で手伝ってくれる子、掃除を指示する先生。
金網の外には野球部と、大量のポカリを1人で運ぶマネージャーの女の子。
それぞれが抱える葛藤や理不尽にがんじがらめになっていて、だんだんとそれらが剥き出しになってくる。
元を辿れば何も彼女たちが悪いわけじゃないのに、彼女たちにそんな思いをさせてしまっているのは何なのか、掃いても掃いても砂が減らないのはなぜなのか、我々大人はよく考えなきゃいけないと本当に思うよ。
あの子が砂の上でも汚れないのも、砂の量が多いのも、裸足で掃除しているのも、ちゃんと意味があると思ったし、
そんな砂の上で、最後にあの子が取った行動に僕は本当に感動した。
そして同時に、自分も知らず知らずのうちにプールに砂を撒いていないか、それを見て見ぬふりをしていないか、身につまされた作品だった。