ケビン

あのこは貴族のケビンのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.3
男側がわかったようなこと言っていいのかちょっと迷うけど、どこで生きていても女性が割を食うような仕組み、そして男女問わず生き方を選べない、選びにくいような仕組みが存在してるのが本当に最悪だなと改めて。

「男なんだから」「女なんだから」「もう◯◯歳なんだから」「◯◯の妻なんだから」「◯◯家に生まれたんだから」

誰が決めたかわからない価値観を何の疑問も持たずに強要する人って本当に多くて、しかも本人はそれが正しいと信じて疑わないから、悪気がないのはわかるけどブレーキが効かないのも厄介でね。

華子がずっとそういう仕組みにがんじがらめで苦悩する一方で、富山から東京の大学へ進学した美紀は美紀で現実に押し潰されていて。本当になんで生きるのにこんなに金がかかるんだろうか、って思っちゃった。それもまたそういう仕組みなんですけどね。

それでもそんな中で自分の足で生きていく姿はやっぱり尊い。

そして華子も、ずっと同じだった移動手段が終盤で明らかに変わるんですよね。

ラストの表情と、あの人との目線の高さの差。華子にとって真に満たされて解放されることがどういうことなのかが本当によく表現されていて、自分はここで落涙しました。

門脇麦さんを見るのはチワワちゃん以来だったんですが、表情1つでここまであらゆることを表現できてやっぱりすげえって思いました。

仕組みに逆らう人への風当たりが強い世の中だけど、平等に幸せになれる世の中であってほしいと思うよ。
ケビン

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