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ゴジラ-1.0/CのBATIのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)
4.2
素晴らしかった。モノクロなだけでなく明度も下がって何が起きているのか分からない映像となることで戦場あるいは今まさに災害に直面して立ち尽くす感覚に陥る。1954版と繋がるような感覚にもなり、私はカラー版よりこちらが好き。そして不思議とモノクロになることによって芝居の「芝居性」が気にならなくなる。それはモノトーンによって「戯画」されるからなのかもしれない。そしてそのことで演者たちの芝居も良く見えてくるのだ。ゴジラ自体が廃墟、戦争の傷跡に見えてくる。癒えていない戦争あるいは災害の傷跡が、襲ってくるような悪夢性が顕在化しているように見えた。モノトーンになることで冒頭の呉爾羅のシークエンスから訳のわからなささが「ミスト」のような怖さを醸し出すのも素晴らしいし、放射能火炎をリリースする時の発光も色がついていないことで「何かが光っている」という未知性が増大している。ソフト化する時は2枚組なのか別売りなのかわからないけど欲しいのはこっちだ。あと、モノトーンになったことで震電が映えなくなったので、「戦闘機大好きなんだな...。」という危うさが薄れたのも良い気がする。
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