ヨーク

タイムマシン2024のヨークのレビュー・感想・評価

タイムマシン2024(2022年製作の映画)
3.3
未体験ゾーンの映画たち2024の11本目です。
『タイムマシン2024』というやる気のない邦題の時点で何やら色々察してしまう感じの本作ではあるのだが、まぁなんつうかその第一印象通りにそんなに面白くはなかったよね。よね、と言われても困るとは思うがそうだったんですよ。この感じは何だろうなと思っていたが、あれだな、出来が悪いときの劇場版ドラえもんみたいな煮え切らない感じでまた適当にタイムリープネタで一本でっち上げたなという感じの作品だったように思う。とはいえ劇場版ドラえもんは出来の善し悪しはあれどファミリー向けのエンタメ映画としては常に最低限のラインは保っているので、単純に本作と比べることができないことは無論承知しているが…。
という感じでやんわりと(別にやんわりではないかもしれないが)つまんなかったという感想の出だしになったわけだが、でもまぁあれですよ、遠回しにつまんないと言った直後に言うのも何だが、未体験ゾーンの映画たちという枠の中で考えればこのボンクラ具合が、そうそうこれこれ! よ、待ってました! となる感じの作品でもあったんですよね。だからその点では満足できた映画でもある。
お話は2週間くらい前に両親が交通事故に遭ったものの遺体は発見されなかったために、ダメかもしれないけどどこかで二人の生存を信じている少年が主人公。そんな彼が後見人の叔父と喧嘩して家出して夜の森に迷い込んだところ、そこには正体不明の物体が。宇宙人のような正体不明の人型生物が現れたのでその物体は宇宙船かと思われたが、その正体はタイムマシンでその宇宙人らしき者から逃げていた少女と共にタイムスリップ! タイムスリップ先は恐竜が地上を支配する白亜紀であったが、二人は無事に現代に戻ってこれるのか…というもの。
まぁ一言で言えばジュブナイルSFですよね。俺がドラえもんを想起するというのも分かろうものだろう。だが当然のようにドラえもんほどしっかりした作りの映画ではなくて、特に予算面の厳しさが目立つ映画であった。数少ない本作の感想を見ても映像面のしょぼさにはよく触れられていて、宇宙船とか恐竜のCGは大体しょぼいのだが個人的には爆発のCGエフェクトが中々に泣けるレベルで貧相だったのが印象に残っている。そのしょぼさたるや爆発のCGを何種類も作れないから、恐竜時代を終わらせた隕石が地球に衝突したときの爆発を宇宙から見た視点のCGを色んな場所で使いまわしていて、それが地上での爆発シーンでも使いまわされるから超拡大された爆風CGが画面に映って、要は非常にキメの粗い爆風CGがスクリーンの大画面に映ってしまうのである。例えるなら、俯瞰のロングショットで見れば今でも何とか見られるPS2後期とかPS3前期くらいのCGでも超アップで見ると流石にキツイよねっていうことを予算の無さでやらざるを得ないというのが透けて見える爆発CGなんですよね。
他にも映像面は中々に厳しいものであった。でもSF版児童文学とでも言えるくらいのストーリーと、それがテンポよく展開されていく編集なんかは普通に観れるものではあるので映像面のキツさにさえ目をつむればそこそこくらいの作品だと思うんですよね。劇場のスクリーンじゃなくて自宅のテレビやモニターで見たらショボいCGもそこまで気にはならないだろうし、ビデオスルー的な作品だと思えばそう悪くはない。そこら辺が未体験ゾーン作品として、これこれ! と思ってしまうところでもあるんですよね。
まぁオチも大したことはないのだがちょうど80分で終わる尺も含めて軽く見る分にはちょうどいい作品なのではないだろうか。アマプラ辺りに来たらビール片手に眺めるのがちょうどいいでしょう。期待しすぎなければそれなりの映画です。
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