たいが

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版のたいがのレビュー・感想・評価

4.2
いやぁ、凄い映画だったな、、、

この年代の映画特有の薄暗くジメジメした雰囲気とザラついた質感
そんな中でうごめくハーヴェイカイテルの存在感が凄まじく、目が釘付けになり脳裏からも離れない
特にコールガールを呼んだ一室でコカインを吸って全裸でゆらゆら揺れている時の異様な出で立ち、なんなんだあれは、、、!!
3Dなんじゃないかと錯覚するぐらいどんどん立体的になってこちらに迫ってくるような迫力

そしてさらに凄いのがこの物語をドライブさせていくのはそんな異様な存在感を放つハーヴェイカイテルや陰鬱とした街で起こる事件ではなく、テレビの向こうの野球の試合だということ
誰もコントロールすることのできないただの野球の試合という事象が主人公を動かし、物語をどんどん深いところへ引っ張っていく

この野球の試合もそのモチーフだと思うがここに神や信仰と言ったテーマも入ってくる

ラストの展開も色んな解釈ができて面白い
あれは救いや贖罪といったものとはまた別な気がする
神の不在を感じ信仰心が薄れていた男はその因果応報のサイクルの外にいる
だが神の存在を再び信じたことでそのカルマの中に再び収まることができたが時すでに遅し、彼がそれまでにしてきた悪事によって罰を受けるという結果になったんじゃないだろうか
彼は誰かを救うまで死ぬことさえ許されていなかったのだ
たいが

たいが