このレビューはネタバレを含みます
良くも悪くもアイデア1発の感じはありますが、工夫を凝らして新たな領域に挑戦している嫌いになれない作品です。
なんと言っても見どころは「幽霊視点」です。見せ方を間違えば瞬く間にバカバカしくなってしまいそうですが、どことなく気まずそうだったり、「幽霊らしく」クローゼットの奥に隠れてみたり、視線に感情が宿って可愛らしく感じさせたのは見事でした。
一方、幽霊の正体が明かされるクライマックスは意外性がないので幕引きには弱いと感じました。
また、正体である兄が死の直前までは利己的で妹を思いやるような素ぶりも感じられないため、唐突な印象も否めません。それは彼の「最期」の行動についてもそうです。
生前の行いを顧みて、後悔の念が現世に彼を留まらせているとも考えられるかもしれませんが、あまりに因果関係が見えないので感情を揺さぶられるものがなく、ただの種明かし以上のものがないのが残念でした。
尺もコンパクトで、斬新で刺激的な魅力はあっただけにもったいない。
