今更ながらホウ・シャオシェン初スクリーンである事に気づいたので、迷う事なく予約。
デジタルリマスターとは思えない雑味のある映像がリアリティーに溢れつつも詩情が乗ったように美しい。
むしろフィルム上映に溺れたい気持ちにもなる。
クラブ、キャバクラ、ヤクザの溜まり場サウナ、ついでに健気な割烹着姿のおばあちゃんがおでんを仕込む夕張の居酒屋、夜の社交場の妖しさとそこに群がる人間達の息遣いが匂い立つ。
個人的にディスコやクラブのシーンがダメな映画が多いと常々思ってるのだが、本作はいかにもミレニアムなサウンドも含めてよく撮れてるなあと感心しきり。
また、時代設定は公開年の2001年となっているが、その10年後からの回想となっており、撮影時はY2K前だったろうし、現在過去未来が混然一体となっているのも面白い。
吉田豪を若くかっこよくしたようなクズ男から逃れられないスーチーが汚部屋の空き缶やゴミ屑をせっせとゴミ袋に放り込むシーンが印象的。
生活の根本を変える勇気が無く、解決にならない方法でその場を取り繕うようで痛々しい。
おそらく代々木あたりであろう新宿ロケーション設定のビジホの撮影も良かった。
異世界としての日本の情景も魅力に溢れている。
選挙ポスターに公明党の一議員時代の山口某が映ってた。
どこかあざとくて好きにならない同時代のウォン・カーワイよりも遥かに上質な映像が素晴らしかったが、エンディングの再夕張シークエンスは監督の公私混同が見え隠れしていて蛇足かな。
竹内兄弟て何者?
他の名作もデジタルリマスターが続くとイイな。
〜〜
今日の一曲
マンボNO.5
https://m.youtube.com/watch?v=Jq6QH8WEmIY&pp=ygUO44Oe44Oz44OcIG5vLjU%3D