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オーメン:ザ・ファーストのTenKasSのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
5.0
予告見て随分前のレフンのドラマで見かけたネル・タイガー・フリーの主演映画だ!となり…でも『オーメン』観たことないしなぁと一作目だけを観てから臨むとネル・タイガー・フリーはとんでもなく凄みがある俳優になってたし映画もただのホラースピンオフとは思えないほど格調高く、前日譚としての満足度も高く超満足して帰った。
なんか(なんと?)デューンのサブプロットみたいな話で、女子修道院の裏にいるベネゲセリット(語源はイエズス会)がある意味で救世主を…云々という感じ。

ある種のボディホラーであり信仰のもたらす幻視的側面がもたらすスリラーである点が、物語の不安定さ(そもそも必要性があるのか不明な前日譚)を強固に支えている感覚があった。
暗闇に対する感覚がすごく鋭敏になる画作りと音作りがとてもよい。多分フォックスなので直ぐにDisney +に流れてくると思うが映画館で観ることに存分に意義があると思う。
マーガレットが次々と新たな場所、そして暗闇に足を踏み入れていくにつれ、本当に何処よりも暗い場所が自身の内面にあると思い知らされる。この感覚が同日にみたクローネンバーグ(息子)の映画よりもクローネンバーグ(父親)の映画的で参った。
画作りといえばロウの垂れた燭台の形が何を示すか明らかになるのが非常によかった(だからレーティングを下げるためのモザイクは少し残念ではあるのだが…)
そして画面から伝わる痛みを蔑ろにしないのも凄い良かった。修道院だからもう否応無しに『ベネデッタ』を思い出す。
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