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インフィニティ・プールのTenKasSのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
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エクストリーム旅の恥は掻き捨て。

男の中の漢を無理矢理奮い立たせようとするド変態ミア・ゴスが良かったというか一人勝ち。
異常にマッチョなノースマン、アレクサンダー・スカルスガルドがやけに弱々しく薄っぺらい男性をやっているのも面白い。留学とかワーホリとか行って人生変わった!って話をしまくりそうな妙にリアルな薄っぺらさ。
結構色々なサブテクストが入れ子的に入っていて、観光業、富裕層(見事に白人しか出てこない)、資本主義(注意経済?)、男根主義と広がりを見せつつ批判的になっていく感覚。監督の過去作では暴力的な描写が特に意味もなく入っているような印象があったのだけど今回は自身の内面を変化させたい欲求(つまりは漢らしくありたい)を実現させる為に振るわれる。しかしミア・ゴスの役が序盤に見せる失敗の演技からずっとその欲求は外部から喚起されたものでありつづけ、達成したところで彼は赤子のままである(本当にお乳を吸わせるな)。
後半からだいぶ良かったけどなんかあからさまで全体的にはそんなにいいとは思えなかった。
とりあえずノーランのプレステージみたいな話が出てきたあと、「生きてんだからどっちでもいいだろ!」ってセリフが出てきて主題がそっちに行かなくてよかった。
音楽がTim Hecker
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