このレビューはネタバレを含みます
ブレナン神父……この頃からこんなに頑張っていたのかよ。。
マーガレットからも一作目のロバートからも疎ましがられ、感謝を伝えられることもなく、車に激突までされて、挙句に最後は……。
シリーズを通した主役はこの人と言っても過言ではないよな。
耳の残るラストの「ダミアン……」の言葉も彼の口から発せられたものだ。
オーメン一作目で「山犬が母親」だとロバートに伝えていたところは、捉えようによっては作品間の矛盾のようにも見えるけど、おそらくはマーガレット&カルリータ姉妹の生存を隠すための嘘なんでしょうね。
劇伴の良さについては一作目に劣るかなぁという印象だったものの、オーメンへの繋ぎ方も作品単体としても、前日譚として抜群に面白かった。
中でも感心してしまったのは、現実社会でも明るみに出た教会の性的虐待を設定にうまく取り込んでいるところ。
オーメンが公開された1976年は、教会による組織ぐるみの性的虐待や隠蔽がまだ公になっていない頃ですから、シンプルに権力の物語として描かれていました。
その「権力」を失いつつある教会が復権を目指す過程として、「獣(=悪魔)の子を宿す」という性的虐待をもって目的を果たそうとすることは、都合よくブラックボックス化されてきたカトリックの気持ち悪い部分を上手にエンタメへと昇華しているなと。
強制的に獣の子を宿される「スキアーナ」であったマーガレットとカルリータのふたりが揃って幻覚を見るのは、おそらく性的虐待を受けていたことを暗示しているんじゃないかとも受け取れます。
この作品のポジション上、マーガレットが666の人なんだろうなとは早々に察しがつきましたが、彼女自身が「ソレ」だと気づくシーンの緊迫感と絶望感たるや。
悪魔の子で腹が一気に膨れていく際の、マーガレットが獣化していく怪演も合わせて、主演のネル・タイガー・フリーの演技の振り幅に魅せられましたね。
姉妹と娘が生き残るという展開には、やや驚きました。
希望に満ちた眼差しだった序盤のマーガレットを想い、その彼女が酷くも焼かれ死んでしまうことに悲しむ準備をしていたんですがw
間違いなく続編を作る気満々です。
「オーメン : ザ・ファースト PART2」という、ややこしいタイトルの続編ができそう。
作品単体で考えれば、マーガレットが命を落とす結末の方が心に訴えかけるものはあったと思うのですが、本作の出来が想像以上に良く、続編を見てみたい気持ちもあるので良しとしましょうかw
オーメンに繋がる話でありながら、魅力的かつ意味のある別ストーリーにも枝分かれさせたことは、素直に巧いと感じました。
また、オーメンに繋がるラインの方では、写真とはいえグレゴリー・ペックの登場というサプライズ!これはブチ上がったなぁ。
ローマの休日の役者が、今の時代の新作映画に登場するって、やはり尊いですよ。
世界一のエロ国家のくせして、モザイクだけはしっかりかけるのは、毎度のこと苦笑いでしたw