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俺らのマブダチ リッキー・スタニッキーのSPNminacoのレビュー・感想・評価

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非実在親友リッキー・スタニッキーとは、男たちにとって都合のいい免罪符。彼が存在する限り、子どものまま責任を負わずに済む。そんなよくあるボーイズクラブ映画で、定番「なりすましもの」喜劇。遠慮なく下ネタだらけなのもピーター・ファレリーの定番…ではあるものの。
ところが、このリッキーを売れない芸人ロッドが演じることで、他にはないペーソスが生まれるのだった。所詮役者としては色モノ扱いされがちなジョン・シナが、メタ的に見えてしまう。しかも、そのシナが見くびってたロッドと同じく、これまでにない(?)多彩な演技をしてみせるのだ。
友達が欲しかったのはリッキーのほう。男たちの背景には辛い境遇の影がチラつき、悲哀も増す。嘘で練り上げた物語(バイブル)には、それを必要とする受け手がいる。ならばそれぞれが物語る人になって、罪深い嘘を本当に、非実在ヒーローをリアルヒーローにしなきゃない。
哀れな男が自分を語る。登場人物らは観客として物語を観る。するとお下品コメディが優しい寓話になり、持てる者が持たざる者と分かち合う。映画のあちこちでこの「分配」が繰り返される。ボーイズクラブに入れなかったけど実は誰より馴染む男を迎え入れる大人のボーイズクラブ。傷ついた男を男が救う(しかもマッチョ同士)。虚構の物語とお金は必要な人に渡す。それでいいんじゃないかな。
といっても最後まで下ネタなんだけど(ウィリアムHメイシーでそこまで引っ張るか!)、最終的にはホームタウン・ヒーロー映画に着地。終盤はなぜかピーターじゃなくボビー・ファレリーみがドドッと詰め込まれてた。
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