soutaの映画まとめ

パレードのsoutaの映画まとめのネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【soutaの邦画つぶやき No.544】
"パレード"


大地震の津波に飲み込まれ命を落としたシングルマザーの美奈子。一人息子の良を探す途中でこの世に未練を残す者が集まる不思議な場所へと辿り着く。新月の日、死者たちは行進のように夜の街を歩き愛する者を探していた。


"Netflix" オリジナル作品。

死者たちが大切な人への想いを紡ぐ感動作。想いを残す方法が小説を書いたり映画を撮ったり創作に繋がるのがとても良かった。余命10年続いてのタッグである野田洋次郎(今回はRADWIMPSではなくソロ)の音楽も素晴らしかったし、美奈子たちが集まる場所や行進して歩く姿に、藤井風の"帰ろう"MVの世界観と近いものを感じて好きだった。

結論を言えば、"生きてこそ"に尽きる。
この映画では、死者が生者と直接想いを伝えることはできない(高熱の良と対話が出来たのは正直謎だったけど)。
ナナが目を覚まさなければ、同級生は自殺していたかもしれない、身内たちが繋がることはなくナナと会わなければ良もどう生きていたのか分からないし、ラストの映画は完成しなかっただろう。ナナがいなければ彼らの想いを伝える術はなかった、、でもそれが出来なかったとしてそれは悲しいことだろうか。

死者たちの行動は自己満でしかないのかもしれない、生きている愛する者にこの想いは伝えられないかもしれない。

だけど生きる者・残された者は想像することができる。勿論宗教にもよるだろうが、我々は天国や黄泉の国を信じ、大切な人が今も見守ってくれてるのだと信じている。
こういう世界があると思うことで救われることがあるなと思う。未練を残した死者たち以上に、この映画を見てる者への救いのように感じたし、それは特にラストシーンで感じる。そしてこれも一つの映画への愛の形だと思った。