日本に住んでいると観られる機会があまり多くないロシア製作の映画で、流星群の衝突によって甚大なダメージを受ける地上の人々および主人公の女性と、宇宙ステーションで働いているその父を中心に描くディザスターパニック。
予告篇でも観られるシーンで、本篇全体を通して最も予算と時間がかけられたであろうと想像できる流星群の衝突シーンと、主人公が必死でその災禍から逃れる一連のシーンの緊迫感溢れる演出レベルがとても高く驚いた。
ワンカット長回し (風) で、息をつく間もないまま恐ろしい状況が連続し、その混沌に自分も投げ込まれたような没入感がある。
地上で生き延びようとする娘と宇宙から何とかサポートしようとする父の、遥かな距離を越えたやりとりの方法とその見せ方の演出には、SF的観点でなるほど面白いと思える部分はありながら、フィクショナルな映画とはいえそれはちょっと荒唐無稽過ぎではと感じてしまう部分も少なからずある。
ただ、科学技術的考証の正確さだけがこういった種類の映画に求められるものではないので、そのあたりの感じ方は鑑賞者それぞれの好みの問題かなとも思う。
脚本としては、単に派手で豪快な画づくりとテンションだけで乗り切るような内容ではなく、主人公および主要登場人物達の関係性の変化や心の葛藤の描き方など人間中心の物語になっていて、その展開に意外性は多くないながら、結末も含め納得感がある。
ハリウッドだけが映画の最高峰だった時代は過ぎて、今や様々な国の映画でダイナミックな画づくりや演出が観られるようになったことは自分にとって楽しく、このロシア製作の映画もVFXの品質やカット割の演出が素晴らしいと感じる部分が何箇所もあった。
映画を通してではあるけれど、自分にとってあまり馴染みのないロシアの現代風景を見られたことも楽しい体験だった。
社会情勢的に仕方がないこととはいえ、この先しばらくの間はロシアの最新映画を観る機会が減ってしまうのかな…
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