幽斎

恐怖の幻想の幽斎のレビュー・感想・評価

恐怖の幻想(2023年製作の映画)
3.8
C級スリラーをレビューする、Scavenger第65界。原題「Burga」スペイン語で温泉、そんなシーン有ったか?(笑)。AmazonPrimeで0円鑑賞。

本作は2023年7月スペインのサスペンス枠で放送されたTVムービー。スペインのホラーは佳作が多いが、カナダが支援したと聞いて、マウスを投げたくなる。だから「Deadly Visions」配信タイトルも存在。Burgaは現地では鉱脈、何かに繋がると言う意味らしい。「らしい」と言うのは日本語がデタラメでお馴染みのAmazon謹製自動翻訳、安上りなので0円、業務スーパーみたい(笑)。世界の珍品を居ながらにして観れる。

A Poco A Poco Producciones、チョッとずつと言う可愛らしいネーミングの会社が制作。小説の世界でスペインは家族の過去を問う作風が多く、Filmarksのあらすじが一行で纏めました的なヤル気の無さだが、精神病院、記憶喪失、精神疾患、スペイン定番のプロット。スペインのスリラー映画と云えば、レビュー済の傑作「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」有名な「ロスト・ボディ」等、ドレもオチが似てますよね。

本作もオチを知れば中々にマニアック、父親が精神病院のオーナーと言う分かり易いミスリードで、エレナが見てるのは現実か?、ソレとも幻覚か?観客も参加して謎の真相を追及。Alfredo Contreras監督は日本では無名だが、スペインでは名の知れた存在で、「Luces」と言う作品で国内の賞を独り占めした経歴を誇る。本作は1960年代に実在した精神病院での事件を基に制作、残念なのはエレナ(お○さん)に華が無い事。

モンスターや殺人鬼の幻覚に怯えるエレナと、病院が裏で暗躍するプロットは時代背景も有り、閉鎖的で非人道的と言うシチュエーションも陰湿で、スペインらしいウエット感ある恐怖描写も上手い。ギミックを駆使する英米のスリラーでは無く、淡々と昔の精神病院はこんな感じかもと言うリアリティも相まって、地味だけど雰囲気の創り方も悪くない。統合失調症なら何でもアリの展開はミステリーで言う「信頼できない語り手」。

病院の院長の娘と言う絵に書いた死亡フラグが、幻覚、幻影、幻想と言うスペインお得意の超自然現象3点セットを意識させ、一番怖いのは人間と言うスペインらしい結末に繋げるセンテンスと、病院から協力者のサポートで脱走すると言う、静に加えて動の要素も有り、病院の後継者のエレナを抹殺する罠から逃れる展開が、少しモタツクのはご愛敬、スリラー専門の私もアクビ無しで見れるクオリティは素直に褒めたい。オチに意外性は無いが、ソコに至るまでのプロセスは久し振りに見た気もする。

TVムービーなら十分合格、一粒で二度美味しいサイコスリラーなので、暇潰しに為るかも。
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