東朴幕院

夕陽のガンマン 4K復元版の東朴幕院のレビュー・感想・評価

4.2
ドル三部作の二作目に位置付けられる本佐、黒澤明の『用心棒』をモチーフにした『荒野の用心棒』に対して、オリジナル脚本という事もあるのか尺も長くなっていて若干助長的にも感じるか。

一方で、クリント・イーストウッドはいつもの必要以上に言葉を発せず寡黙であるが、発する一言がいちいち皮肉に塗れている男を演じていて、それは安定した面白さに繋がっている。

そして同業の賞金稼ぎを演じるリー・ヴァン・クリーフ。鷲鼻ニセコ鋭い眼力は、クリントとは異なる凄みを持つ俳優で本作への起用が大成功していると言える。
特にクリントとの会話の中で、オルゴールの逸話を聞かれた時のリー・ヴァンのハッとして、その後の表情は正に映画の素晴らしい瞬間を捉えたものだと改めて知る事となり、筆者の心を大いに打ち鳴らしたね。

そしてもう一人ヴィランを演じるジャン・マリア・ヴェロンテの汗ばんだ顔付きも印象的だったね。沈着冷静という訳ではなくエモーショナルで残虐。典型的なマカロニのヴィラン像であるが、あの薄茶の黒目が強い印象を残している。

マカロニに醍醐味は、ラストの撃ち合いでのカタルシスだね。
本作のリー・ヴァン・クリーフは特に格好良かった。
東朴幕院

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