イージーライター

ティファニーで朝食を 4Kのイージーライターのレビュー・感想・評価

ティファニーで朝食を 4K(1961年製作の映画)
4.0
オードリー・ヘプバーン主演。

オードリーはホリーという名前の娼婦である。映画中はっきりと示されるわけではないがそのとおりである。お金に執着した生き方をしている。なにがなによりお金というほどではないが、常に、お金を得たいと考えている。ニューヨークのそれほどよくないアパートメントに住んでいるが、そのアパートメントの上の階に、小説家が引っ越してくる。

小説家は、ホリーの生き方に注文がある。意見をしたいができない。ここがこの映画の脚本の面白いところで、小説家自身、年上の女性に囲われて生活を支援してもらっているのだ。

脚本が面白いというのは、男が女に諭そうとしても、自分自身に跳ね返ってくるというわけでできないということになっているからだ。底が浅い、物語や映画というのはとかく二項対立、善悪をはっきりさせたがるものだけども、この映画は設定上、彼女の生き方を男が簡単に断罪できない仕組みにしているところが結果としてこの物語に深みを与えることになっているのである。

また他にも彼女がニューヨークでこういう生き方をすることになった原因の人物が途中で来くるのだが、その人物、彼が悪者になるような設定になっていないのもいい。彼なりにホリーを一生懸命愛していた。でもそのホリーはホリーの理屈でその愛を受け入れることができないとなっている。これも善悪、二項対立とはしない設定ということだ。人生とはそんなに簡単に割り切れるものではないが、この映画も実際の人生のごとく、割り切れるような書きっぷりにしている。

オードリーが出ていくるぐらいだから、ワンカットワンカットがとても綺麗。そして割り切れない人生の描写がとても時折切ない。そしてなによりもテーマ曲、ムーンリバーの調べが美しい。もとより美しい曲だけども、映画を見終わって、歌詞の訳を眺めると、さらに美しい気持ちが増してくる。

"私達は目指す 同じ虹の終わりを
待ち合わせましょう あの曲がり角で
私の大切な友達
ムーンリバーと私"

We're after the same rainbow's end,
waiting, round the bend
My Hukkleberyy friend,
Moon River, and me.

詩の訳はこちらから
https://www.worldfolksong.com/popular/moon-river.html