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室井慎次 敗れざる者のKUBOのレビュー・感想・評価

室井慎次 敗れざる者(2024年製作の映画)
4.0
12年ぶりの『踊る』、『室井慎次 敗れざる者』見てきました。

室井慎次(柳葉敏郎)はほぼ同世代。警察内部の組織改革審議委員会が解散となり、閑職に追いやられて警察を早期退職した室井の設定は、企業の出世競争に敗れて退職したシニア層には共感一入だろうな。

あの頃からリアルな年月が流れた本作は、かなりの過去のエピソードからの伏線を拾っていることもあって、シリーズのファンは此処其処でニヤっとしたり、うるっとしたり。

退職後、室井は地元秋田で犯罪被害者や加害者の子供らの里親となって静かに暮らしていたが、室井の家の目の前で埋められた遺体が発見される。遺体のそばには「洋梨」が埋められていた。

そう、シリーズのファンなら、これだけで劇場版第二弾『THE MOVIE 2 レインボーブリッジを閉鎖せよ!』との関連性にピンと来るだろう。

また、その仲良く暮らしていた室井家に、突然舞い込んできた少女の名前が「日向杏」。そう、今度は「日向」という苗字だけで、あの第1作と第3作に登場したシリーズ屈指のヴィランとの関連性にも気付くだろう。

そういう意味で、本作は、本作だけでも楽しめるが、少なくとも劇場版1〜3までを見てからの鑑賞をオススメする(もう地上波で集中放送してたから見てただろうけど)。

本作は元々BSドラマとして企画されていたもので、その段階では事件など起きずに、室井と子供たちの暮らしを中心にした話だったのだが、映画化ということになって「室井の家の前で死体が発見された」ということになったらしい。

ということで、本作では室井家の長男的な「タカ(斎藤潤)」(『カラオケ行こ!』の子)の話がメイン。でもこれが泣かせるんだ。

刑務所の面会室で、後ろから肩に手を差し伸べようとして、その手をぐっと堪えて拳を握るところが「室井慎次だなぁ」と。

いろんなキャスティングに驚いたり、喜んだりしたけど、まずは「いしだあゆみ」! いったいいつ以来の映画出演だろう? 久しぶりに元気な姿が見れた。

それから、『宮田バスターズ』の渡部直也さんと、木村知貴さん。共に秋田出身俳優枠(?)で秋田弁バリバリでした。

室井は警察官僚のキャリアとしては「敗れた」かもしれないけど、人生の上では「破れていない」、室井なりの正義を貫いて生きている。そんな男の生き様を見せてくれる作品でした。

前後編だから、事件の解決は『生き続ける者』に持ち越しだけど、後編では加害者の子供リクくんの話と、もちろん「日向杏」の話になるんだろうな。キョンキョンも出てくるのかな?

楽しみだ!
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