てるる

シャイニングのてるるのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
3.8
たぶん20年ぶりくらいに観直した。

スティーブン・キングが批判するのもよく分かる。
キングの持ち味としては詳細な人物描写や心理描写があり、キューブリック版はそこがすっぽり抜け落ちてる。

特にキングが自分の経験に重ね合わせたであろうジャックの葛藤なんかは潔くカット。
すぐにホテルの何かに取り憑かれてサイコ野郎に変貌。
そりゃ自分の分身を改変されちゃキングも怒るわな。

でも一方でキューブリックがばっさりカットしたのも分かる。
実際キングの作品で成功したのってスタンド・バイ・ミー、ショーシャンク、ミストは軒並み短編や中編が多い。
長編をしっかり映像化しようとしたらとんでもない長さになる。
ITやらザ・スタンド、ランゴリアーズなどなど。

そういう意味で自身の映像美や演出に徹底的にこだわり、観客に考察の余地を残したミステリー要素も相俟ってホラーの名作になっている。

不気味な双子や血の洪水、ドアのREDRUM、お風呂でろでろババァなど一度観たら脳裏に焼き付くシーンのオンパレード。

個人的には音にも注目して欲しい。
ダニーが三輪車に乗って剥き出しの床を走るゴーという音。
絨毯の上の無音が交互に続くこと不協和音のように不気味な雰囲気を醸し出している。
何もかもが計算され尽くした演出には脱帽。

そして何よりジャック・ニコルソンの怪演の凄まじさ。
こんなん演じてよく狂わなかったな。

そんなニコルソンのひょっこりはんに霞んでしまうけど、実は奥さん役のシェリー・デュバルも名演技。
特に斧で扉割られそうになってるシーンでの表情はある意味ニコルソンより怖ぇ!笑
ダニー役のダニー君もなかなかの好演。

紛れもない名作なんだけど、キング好きとして本当のシャイニング(原作orドラマ版)も観て欲しい…ドラマ版は一般層には評判悪いけどなっ!(꒦ິ⌑꒦ີ)
てるる

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