KnightsofOdessa

殺人者のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
4.0
No.198[死亡者は多いが殺人者は意外と少ない] 80点

普段は休日に大量摂取した映画を平日に分散して"毎日投稿"をしているのだが、今日の私がアホすぎたせいで研究室に主力PCを忘れてきてしまい、慌ててバッテリーの壊れたおじいPCを叩き起こして映画を観た。いつもドミトリク『ブロンドの殺人者』と題名が混ざったり監督が交代してたりする本作品は、アーネスト・ヘミングウェイの同名短編を映画化した作品である。映画化作品はもう一つのドン・シーゲル『殺人者たち』の方が有名だろう。

二人組の殺し屋がダイナーで待ち伏せする冒頭から既に素晴らしい。ここに登場するのは全員モブキャラだが、実に10分もの間彼らの間だけで展開するのだ。多くを語らない殺し屋の言葉の切れ端から後に起こるであろう事件を想像するが、警告をしに行った青年は普通に間に合うなど意外な点を外してくる。こうして殺されたガソリンスタンド店員の人生について、保険調査員の男が超人的な喰らいつき方で解き明かしていくのが本作品。保険調査員を演じたエドモンド・オブライエンは薄めたボギーに見えて仕方ないし、ファムファタールとなるエヴァ・ガードナーなんかほぼ登場しない上に痩せ過ぎたエヴァ・グリーンみたいで薄気味悪さすらあるのだが、残りは実に王道を走っていて爽快感すらある。特に工場に入ってから金を抱えて出るまでを描いた給料強盗の長回しは白眉。最後には入り組みすぎたプロットを上司との会話で整理してくれるので助かる。『過去を逃れて』(だっけ?)とか『三つ数えろ』とか複雑すぎて全く理解できなかったし。

『パンドラ』を観たときにも思ったが、エヴァ・ガードナーはちょっと苦手かもしれない。
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