もともとが舞台俳優なので、セリフ喋るぞ、ってとき肩をキュッと正面の客に向けるような、俺の番ですね感が出る初々しいデンゼル・ワシントン(30歳)を堪能できます。
そこから40年弱、映画人としてのキャリア終盤に差し掛かって劇作家オーガスト・ウィルソンのピッツバーグ・サイクルと呼ばれる全10編戯曲シリーズを映画化する目標を掲げ、つまり舞台に帰らんとする彼の初心を味わうのにはちょうどいい作品。
BLMを自分たちには関係のない話だと思っている方角にはむしろ腹が立つテーマではありましょうが、ここで描かれている格差は現代日本にも「ある」わけで、テーマとしては遺憾ながら生きていると思うのです。
それはそうと、『フェンス』(2016)と『マ・レイニーのブラックボトム』(2020)の2タイトルが完成、『The Piano Lesson』ってジェーン・カンピオンと紛らわしいけど別ものがサミュエル・L・ジャクソン＆息子ジョン・デビッドを主演に据えて制作開始、って全10本大丈夫か間に合うのか、という声には出さない危惧が俺たちデンゼル・ファンにはある。12月28日で67歳だからねえ。
