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チャンスのmiiのレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
4.1
「エンパイア·オブ·ライト」の作品の中で出てきた本作。
ピーター・セラーズが放つ独特の空気感と チャンスという人物に
とても引き込まれました。

知的障害を患い 庭師として幼い頃からお屋敷で働いていたチャンス(ピーター・セラーズ)。
主人が亡くなりお屋敷を追い出されてしまい
初めて外の世界に踏み出す事になる。

高級車と衝突してしまい
車から降りたイヴ(シャーリー・マクレーン)に連れられて彼女の家に向かうと
財政界の大物である夫ベンジャミンはチャンスをたいそう気に入る。
温厚でどっしりと構えている彼の風貌と 打算のない実直さに惹かれて。

ついには 大統領と握手を交わす機会をも得る。

ありのままの地で行く彼に対して
いったい何者なんだ!?と周りがはやしたてる。
そのちぐはぐさが面白い。

テレビに夢中な彼は
とりあえずリモコンなら何でもテレビに向けるw
シャーリー・マクレーンにキスされようとも 目線はテレビ。
そっちで彼女に自慰させながら 彼はTVに釘付けw
お気に入りのヨガ番組を真似て 三点倒立をトライしてるのには笑いましたw

庭師であるチャンスの言葉
「寒い冬の時代をじっと耐えると 木々が芽吹く春がやって来る」は
政治の世界にも言える事だし
浮き沈みの波がある人生のように
私たちの長い人生に於いても言える事。

何事にも動じない
他者を「NO」と突っ返さない すべてを受け入れる彼の姿勢には
学ぶものがあります。

ラストの池の上を歩くシーン···
彼は今までのように ただ自分の道を歩いただけ。
無垢な自分らしさを持つ彼に これまでチャンスが訪れたように
これからの可能性を示唆したものに感じました。
「人生とは 心の在り方」
このラストシーンは 観た人それぞれの解釈があるでしょうね。

そして ピーター・セラーズの遺作である事を考えると
去っていくあの姿は ラストを飾るにふさわしい場面でした。
mii

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