かわとも

殺しのかわとものレビュー・感想・評価

殺し(1962年製作の映画)
3.4
どこまでがパゾリーニ?
ベルトルッチのデビュー作。

藪の中的な運びだけれど、ラストは違う。

ローマの公園を舞台に、同じ時間にそこにいた人たちのその日を描く。

いわゆる貧困層と思える人々の、その日。

それぞれが、ダメ、な人。と、ラベルをつけることができそうな人たち。
スリ、ヒモ、かっぱらいそして、娼婦の金を奪おうとする泥棒。

特筆すべきは、作り笑いで街を彷徨う軍人。違う世界に行ってしまったように見えました。

通り雨のシーンが何度も出てくる。
そのシーンとそれぞれの容疑者のシーンがシークエンスする。

オムニバスと言ったほうがいい構成。

美しいショット。画面の切り取り方。
ベルトルッチ100パーセントじゃないんだと思うのですが、見応えある画面です。
テオレマ、思い出しちゃいました。

ラストの男のセリフ、ムカつきます。
でも、そういう軽蔑があるのは事実。
街にはそんな女が沢山いた、貧しい時代の一コマでもある。

暗喩しているとしたら、イタリア国内の風刺、かな。北と南。
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