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ペントハウスのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ペントハウス(2011年製作の映画)
3.8
超高級タワーマンションを所有し自らもそこに住んでる金融系大富豪が空前の金融詐欺事件を起こす。
溶かされた資産の中にタワーマンションの従業員達の年金も含まれてたから、さあ大変!
大富豪に資産運用を頼み年金を託したホテル・マネージャーのベン・スティラーが責任を感じ、大富豪の隠し財産を探しだし溶かされた年金を取り戻すため大奮闘するコメディ。

監督がラッシュアワーとか撮ってる人で主演がベン・スティラー、脇を固めるのがエディ・マーフィーにマイケル・ペーニャなんで、レベルの高いアメリカ・コメディの平均値をクリアした良作だった😀

それにしてもアメリカのコメディ映画は世相を忖度することなく容赦なく皮肉るよな笑
今回もリーマンショック以降に頻発した金融事件をうまく題に取ってる。
庶民は何も知らされずいーよーに動かされババを引かされ、金持ちは自らが引き起こした事態の責任を巧みに逃れ自分の財産を死守する。
そんな様がリアルに画けてた。長年ホテルのドアマンとして地道に働いてきた従業員が自殺をはかる(未遂で一命はとりとめる)そんな惨状をベン・スティラーに聞かされても大富豪は従業員の年金の返還に応じようとしない。
ガラスみたいな眼で心のこもってない反省の弁を述べるのみ。
彼等の年金なんてこの大富豪の資産の何百分の1のわずかな金額なのに。

この大富豪役の人がとてもリアルで本当に腹立つんだよな。普段は従業員へ親しげに労をねぎらうような気遣いの言葉をかけたりして紳士を気取ってるものの、心の底では従業員のことなんか見下し切ってる雰囲気を漂わせてて笑
だから、そんな風に思ってる従業員達に責任を追求された時の逆ギレが凄まじいんだよね。「お前らの代わりなんかいくらでもいるんだ!」「お前らがどうなろうが誰も気にしないが俺はちがう」とか醜い特権意識が炸裂するんだよ。
それはまるでどっかの「美しい国」の財務大臣や総理大臣が不祥事を問い詰められた時の国民を舐めきった不遜極まりない態度を彷彿とさせ、しがない庶民のおれはスティラーへの感情移入マックスになったよ笑

なもんで映画の出来以上に楽しめた笑
やっぱねぇ、辛辣な皮肉やブラック・ユーモアは金持や権力者の傲慢に向けるからこそ痛快なんだよ!スカっとジャパンや横澤夏子なんかをおもしろがってる人はそこを掘り下げて考えてくれよな😀
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