教養の高さゆえ祖国の軍属にも馴染めず、イギリス人ゆえ憧れのアラブの民にもなりきれなかった男の激動の瞬間を切り取った映画。
先がわからないままに見た一回目は長すぎてしんどかったが、もう一度鑑賞したところ、「信徒としても砂漠の民としても、そして王の部下としてもエリートであり、その自負があるアリ」と「平和な国で学問を享受し、他人を気にせずただただ自由に清く生きられていたロレンス」の絆の物語としての素晴らしさが見えてきた。
前半90分は王道の「縛られぬ主人公が旧態依然とした価値観を変えていく物語」となっており、後半は「主人公であっても神にはなれない苦悩」がビターに描かれる。
実話ということを無視して現代でリメイクするならもう一展開「救済」がありそうだが、アリの行く末(それでも諦めない)を思うと種は蒔かれたのかなとも思う。
