エイデン

レックのエイデンのレビュー・感想・評価

レック(2007年製作の映画)
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消防士を密着取材していたTVリポーターのアンヘラとカメラマンのパブロ
深夜 消防隊長のアンドリューらにインタビューをしていたところ、通報を受けた出動要請のベルが鳴り響く
消防車に同乗し、急行した現場は古びた1軒のアパートだった
通報は火災ではなく、人を助けてほしいというもので、1階に集まった居住者達によれば、2階に1人で住む老婆イスキエルドの悲鳴が聞こえたのだと言う
早速 彼女の部屋へと向かう隊員達は、別途通報を受けて訪れた警官達と合流
警官は扉をノックするが返事はなく、中は不気味に静まり返っていた
仕方なく扉を破り、中に突入した彼らの前に現れたのは、血まみれの下着姿のイスキエルドだった
声をかけるも返事はなく、どこか様子がおかしい彼女は警官が近づいたその時、突然 牙を剥いて襲いかかる
カメラが捉えたのは、彼女が警官の首の肉を食いちぎる姿だった
慌てて隊員の1人マヌーがイスキエルドを引き剥がし、全員で部屋の外へと連れて行く
負傷した警官を病院に連れて行こうと1階に降りるが、そこでは集まっていた住民達が外へ出られないと騒いでいた
何故かアパートの外にビニールが貼られ、謎の集団が周囲を封鎖していた
彼らは保健当局を名乗り、安全のための封鎖で確認が取れるまで誰も外に出せないと言う
携帯も圏外となり、状況が全く読み込めないままパニックが広がって行くが、事態は更に最悪の方向へと転がっていく
戦慄の一夜の一部始終をアンヘラとパブロはカメラに収める決意を固める



大ヒットを記録したスペイン産ホラー映画

俗に言うゾンビ映画というジャンルながら、タイトルにも表れている通り、全編を作中のカメラマンが撮影したファウンド・フッテージ方式を組み合わせた最初期の作品
ファウンド・フッテージといえばそれを上手く使ってヒットを飛ばした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』だけど、見せ方をホラーに振り切ったのが当時としては革新的
POVのレベルを底上げした作品とも言えるかもしれない

閉鎖された空間に普通におっかないゾンビが何処からともなくやってくる恐怖は、ゾンビ映画の中でもズバ抜けて怖い
わらわらとゾンビが溢れ出てくるわけじゃないけど、撮影班が戦闘能力ほぼ無いので未曾有のパニックに見舞われた一般人感がよく表れてる
また今見直すと、ガサガサとした質感とかブレブレの映像とかも妙に生々しくて良い
それにしてもカメラを離さないジャーナリズムよ

またゾンビ映画って確立されたホラーのジャンルがラスト辺りでフッとオカルト・ホラーという形態に変化するのが個人的にはとても好きで、直接的ではない不安感が一気に増大するのが良い
ある意味で言えば原点回帰なのかもしれないけど

大ヒットに伴ってシリーズは本作を含めて全4作製作
またハリウッドリメイクのシリーズも2作あるホラー映画界では知らぬ者のいないであろう人気を博した一作
ファウンド・フッテージというともはやB級映画の定番となりつつあるけど、その原点としてはヒットした理由をしっかり感じられる手堅いホラー映画なので、心して観るといいぞ
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