matchypotter

エルム街の悪夢/ザ・ファイナルナイトメアのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.2
《ご長寿の映画》Part.Ⅱ。その3。
さぁ、どんどんいこう。

今回の企画では、終止符を打ちたいと狙いを定めるシリーズが2つ。

1つは『007』。最新のダニエルクレイグボンドは観切って、先祖返りで初代ショーンコネリーボンドから始めてティモシーダルトンまで制覇した。残りは、ピアースブロスナンのボンド4作品。

もう1つはこれ。『エルム街の悪夢』。オリジナル7作とリブート1作で全8作、かな。
これで6作目。なんだかんだ、ここまで来てる自分にも驚く。

91年の映画だから、音楽が“あの頃”のポップロックやベタな定番ホラー効果音系が満載で「これぞ」感にテンション上がる。

ぶっちゃけ、ストーリーはあるようでない。それはこの6作目に限らず。
初登場で彼のキャラクターと特色を暴きながら右往左往して抵抗する1作目以外は、ほとんど彼の手中で踊らされてなんとか脱出するのが精一杯のスタイル。

彼、すなわち、“フレディ”。
“ジェイソン”“チャッキー”と肩を並べる80〜90年代のアメリカ代表ホラー名物キャラクター。

このフレディのテリトリーは“夢”。
そう、もともと何から何まで支離滅裂なのがスタンダードな夢の中で、その夢の特色を活かしたファンタジー系モンスター。

あの銀の手の爪と、焼け爛れた肌、赤と緑の横線ニットがトレードマークのフレディ。

標的が眠りについた時、その夢に潜み、引きずり込み、魂を奪う。

過去の作品では人の夢を媒介にして、現実世界にやってきたり、殺すだけの愉快犯ではなく復活を試みてみたり、あの手この手の策を講じて、彼なりの目的を果たさんとする小賢しい奴。

今回もこっちの世界にやってきて、何と人に乗り移り出す。何と始末の悪い奴なのか。
しまいには、いつの間にか、フレディのかつての生前の生い立ちの話と、彼の子供に由来する話に展開していく。これぞ驚きの展開。

フレディ、ベラベラ喋りかけてくるし、標的の夢の中であることをいいことに無敵に近い力でヘラヘラふざけた感じで迫って来る鬱陶しい奴。

自分の凄惨な生い立ちや辛い過去すら糧にし始め、挙句の果てに子供にすら牙を剥く。

それにしても、夢にいる限り、彼のホームグラウンドであることには間違いなく、夢の支離滅裂さを逆手に取って、支離滅裂に襲いかかってくる恐怖。

彼の存在が怖いというより、夢に囚われ、あの“意味わからないけど抗えない無秩序の悪夢”から抜け出せない途方もない絶望感が恐ろしい。

今回、あのベタなアレが観れる。
“あの爪を黒板にキーーー”のあの鳥肌が立つ不快な音をギコギコするフレディ。
志村けんがフレディをパクってやってたあのコントのヤツ。ちょっと違う意味でテンション上がる。

そして、ちょっと待て、1作目に出ててビックリしたジョニーデップ。今回、一瞬出てなかったか、、、その、モニターでわけわからん感じで卵焼き焼いてたの、、、え?
またちょっと違う意味でテンション上がる。

とにかく、夢だから、辻褄なんか合うわけない。
この彼の土俵にいる以上、勝ち目もない。
しかも、それは誰にも訪れる眠りの中に潜む。

眠りの中で牙を剥き、現実世界に影響を及ぼしながら、着実に追い詰めていく。

本当に、本当にうざったいやつ、フレディ。夢だからこそ生理的にもなんとかして欲しいやつ、フレディ。

6作目は『“ファイナル”ナイトメア』なのに、続きがあるシリーズ。マジでいい加減にしろよ、フレディ。

若者たちよ、毎回同じ手に乗っかってやられてる場合ではない。早く何とかして葬れ。安息はないぞ。

最後の赤青3Dメガネのメカニズムはよくわからないが、アイデアの宝庫のシリーズであることは間違いない。
そして、最後は『ジョーズ』っぽいやつ。定番は忘れてないね。


F:1916
M:1135
matchypotter

matchypotter