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Romería(原題)
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『Romería(原題)』に投稿された感想・評価

[スペイン、陰湿な父方の実家と想い出の欠片] 70点

2025年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。カルラ・シモン長編三作目。ずっとベルリン映画祭に出品していて、前作『太陽と桃の歌』で金熊賞を受賞したことでシフトチェンジしたのか、本作品ではカンヌ映画祭に登場。あっさりフラれるのも、個人的には好きだけどそこまで優れた作品とも思えない本作品ですら今年のベルリンに出てたら他作品を蹴散らしてただろうと簡単に想像できるのも、ベルリン映画祭好きの私には少々悲しい。物語は2004年、幼くして両親を亡くした18歳のマリナが、大学の奨学金申請の書類を揃えるため、スペイン北西部沿岸の港町にある父方の実家を訪れる場面で幕を開ける。亡くなった父親の書類にはマリナの名前すら記載がなく、これを訂正するには公証人立ち会いのもとで祖父母の署名が必要となる。しかし、ヘロイン中毒者でAIDSで亡くなった両親への当たりは厳しく、マリナは孤立無援で豪邸に放置されることに云々。若い主人公が田舎にある実家で大量の親族に囲まれるといういつものやつで、最近はスペイン/ポルトガル/中南米の女性監督がパクり始めたので、私はこれを"カルラ・シモン病"と呼んでいるが、監督が一抜けで回復するのかと思いきや、残念ながら重病人のままだった。今回も父親の兄弟姉妹らしき年代の人たちとその子供たちが大量に出てくるが、誰が誰でどの立場なのか全く理解できないまま終わっていた。父親や叔父が大西洋横断出来るくらいのボートを持っていたり、祖父が船着き場を建設した話が出てきたりと、実家はかなりの金持ちのようで、だからこそ不出来な父親(そしてその仲間だった弟のイアゴは今でも実家に居場所がない)の存在は鬱陶しかったのだろう。常に機嫌の悪い祖母はマリナをゴミでも見るような目で見ていたし、父親のことを話題にも出したくない祖父は、子供たちの目の前で金色のお菓子…じゃなくて茶封筒をマリナに渡して、"これで奨学金は要らないな!"とか言っていたし、その影響下にある孫たち(マリナの従兄弟たち)は、バルセロナから来たマリナをハブり続ける。陰湿すぎる…しかし、マリナは基本待ちの姿勢で、多少なりとも味方してくれる叔父ロイスや叔母オラヤと祖父母の話し合いを漏れ聞きながら、ボーッと家の中を歩いているだけで、何もしないから進捗も生まれないという当たり前体操…マリナが養母から聴いていた父親の最期とは異なる事実を提示され、この家族は一体何を隠しているのか…みたいなサスペンスも絡んでくるが、その当たり前体操で"宙吊り"にされてもなあと。

その間に本当に何もしていないというわけでもなく、1980年代に母親が書いていた日記を朗読するという場面が挿入される。大学で映画を学びたいというマリナは常にビデオカメラを持ち歩いており、それで撮影された荒い画質の映像が日記の朗読に重ねられる。何かを記録することへの執念、或いはメディアを通した世界への視点は母娘で共通なのだろうか。そして、監督らしからぬマジカルな瞬間を経て、マリナの両親の物語へ突入する。しかも、マリナの母親をマリナを役のLlúcia Garciaが、父親をマリナの従兄弟で彼女と良い感じの距離になるヌノ役のMitchが一人二役で演じており、陰湿な金持ち家族模様とはかけ離れた、陽光のもと瑞々しく官能的でありながら死の匂いが漂う爛れた生活と現代が接続される。イアゴが家族や友人たちと写った写真を見て"俺が唯一の生き残りだ"と言っていた通り、様々な人に死が訪れていた時代を、クラブで踊り明かしていたら一人ずつ白い布を掛けられて動きを止めていくという演出で表現していたのも中々に恐ろしく素晴らしかった。日記の朗読とともに描かれる不在の人物の回想としては興味深い演出だが、本筋のサスペンスからは外れているので、ずっと"何してんだろ?"という疑問は付きまとっていた。日記も前半と後半で同じ部分を同じ意味で読み返すシーンとかあって、普通に意味不明だった。もうちょっと手放しで褒めさせてほしいっす。

ボートと桟橋と陽光の組み合わせと呼応させうように、作中では影、そしてそこに差す小さな光の描写が多く描かれていた。それは閉鎖空間の出口を指し示すようなものでもあり、艶やかで美しかった。全体的には悪くなかったかな。この監督に対して、私にしては珍しくポジティブな評価です。

追記
ちなみに、原題"Romería"は"巡礼"という意味らしい。舞台となるビーゴの街の近くにはサンティアゴ・デ・コンポステーラがあるのと、マリナの旅やマリナの両親の旅を示しているのだろうか。