くわまんG

NARC ナークのくわまんGのレビュー・感想・評価

NARC ナーク(2002年製作の映画)
4.0
インディペンデント映画ながらレイ・リオッタが脚本に惚れ込み、ジェイソン・パトリックとともにノーギャラ同然で受けたのが話題となった、カーナハン監督の出世作。9日で尽きた撮影資金をリオッタ夫妻が捻出し、同じく作品に感銘を受けたトム・クルーズが出資までして公開にこぎ着けたんだとか。

みどころ:
R.リオッタが怖すぎる
静かで重く硬派な演出
充実のサスペンスミステリー
二転三転するクライマックス
ツラい

あらすじ:
デトロイト署麻薬課の優秀な潜入捜査官だったテリスは、一年半前のガサ入れで相棒と通行人を死なせてしまった。それ以来、自身や家族の心身の負担を勘案し、現場から離れていた。
しかし当然、犯罪の芽は吹くばかりで、またも潜入捜査官が殺される事件が発生。すると厚顔無恥な上層部は、昇進をちらつかせて現場復帰を打診してきた。
固辞していたテリスだったが、被害者の元相棒オーク警部補が燃やす復讐の炎に熱せられ、妻に内緒で承諾してしまうのだった……。

11キロ増量し、口ひげに特殊メイクまで施して臨んだレイ・リオッタのオーク警部補は、ハリソン・フォードのオファーを退けて余りあるほど、鬼気迫るものでした。画面上なのに、寄ってくるだけで暴力の臭いがして、チビります。

おそらく低予算を補うためでしょうが、フラッシュバックを多用した撮り方が印象的でした。蓋しようとしていた誰かの忌まわしい記憶が明らかになり、また誰かのそれがあらわに…と芋づる式に解き明かされていくので、サスペンスとしての推進力が落ちず、クライマックスまで一気に引き込まれましたねぇ。

胸糞とまで言わずともやるせないストーリーと、地味ながら重々しい演出との相性もよく、「果たして真実を暴くべきだったのか…」とか「知らず知らず同じ轍を踏んでいたのか…」とか「この後を想うと声も出ない…」とかいった感想がため息とともに漏れます。後味は悪めですが、低予算とは思えぬ観ごたえのある一本でした。