tacky

三十九夜のtackyのレビュー・感想・評価

三十九夜(1935年製作の映画)
4.5
ヒッチ先生のイギリス時代の最高傑作だと思う。
わずか90分の中に、ヒッチのお約束の要素がギッシリ詰まっている。素晴らしい。
そして、無駄なシーンが、ひとつも無い。

偶然巻き込まれた主人公。
殺人を疑われ、警察とスパイ組織の両方に追われる。
群衆の中、人々を上手く使って逃げる。
狭い列車内での、追いかけっこ。
意外に直ぐに現れる黒幕。(少し間抜け)
これも偶然巻き込まれるヒロインとの逃走劇。
パン切りナイフ、手錠などの小物の使い方。
オチ、考えられない、そう来たか!
あげたらキリが無い。

特にヒッチのユーモアが、ここかしこに散りばめられていて、
冒頭の牛乳配達に扮装して逃げる件や、宿屋で上手く不倫カップルに化ける所など、真実じゃなく、ちょっと色気のある話に持っていく所なんて、とてもシャレていた。

特に主人公は身の潔白を示すのに必死で、後先考えない行動とるのだが、ヒロインはまぁはた迷惑な被害者なのが、いつの間にか好きになってる所なんて、ヒッチ先生らしい。
でも警察の目を誤魔化すためとは言え、いきなり列車の個室に入ってきて、キスされるなんて、可哀想だと思った。

そのマデリーン・キャロルは、ヒッチ先生好みのエレガントながら、何処か情熱的な金髪女優で、ストッキングを乾かすシーンの足フェチな場面では、グッときた。
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