pika

スサーナのpikaのレビュー・感想・評価

スサーナ(1950年製作の映画)
3.5
オープニングから面白い。
キャラクターや設定背景を家族の会話で一気にまくし立てるっつーベタな手法を使っているが茶番劇に見える。ダチョウ倶楽部の「押すな!押すな!」的なネタの前振りに見えるから妙に可笑しい。
脱獄シーンから足フェチ炸裂。使用人に鶏小屋で言い寄られるシーンで抱きつかれて卵が割れ太ももに滴り落ちるショットの直接的な卑猥さ。
男たちの目線、表情を捉えるショットは目に見えぬ鼻息の粗さを見事に見せている笑

信心深い一家に突如転がり込んだ若い女のせいでバラバラになっていくという筋自体はこわごわと慄きながら楽しめる単純なドラマで、信仰や家族の信頼を試すための悪魔の試練だとか人間の業を見せてやる!などと気負わず上辺だけ掬ったようにあっけらかんとした茶番劇で見せる。ここが一番の魅力だと思う。
ドロドロとした陰鬱なドラマにして深刻に見せれば「あら悲しいわ、悲惨ね」と感情だけで満足し終えるだろう、そんな安直なことをブニュエルはしない。信仰と悪魔なんて形而上的なものではなく真っ向から人間を描いている。

仲睦まじく信頼しあっていた人たちが変わってしまうのは悪魔や何か悪意の『せい』なのか、それは言い訳なのではないか、誘惑に逆らい頓着せずギリギリまで耐えて(いるようにちゃんと見える視線誘導はさすが)いる人物描写の丁寧さや、欲望に振り切って解消するむち打ちシーンの見せ方などキッチリ描ききっている。
深く注意して解釈しないと気づかないようなところに意図を持ってくるというのはシュルレアリスティックだなと勝手に解釈。間違っているかもしれないが現時点で個人的にそう思った。
ラストのこざっぱりとしたところも見た目に反して意味深いと思う。そこも神だの悪魔だのの存在は見えず、ただただ人間たち同士の中でのことだったというような。

スサーナがエマ・ワトソン的な美女。肩紐でスイッチオンオフ。
「私のように美しい娘」要確認
pika

pika