トムヤムクン

グエムル -漢江の怪物-のトムヤムクンのネタバレレビュー・内容・結末

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

『パラサイト』パルムドールおめでとう!ということでポン・ジュノ監督の予習を始めます。これ平均点3.3ってみなさんどうかしてるんでしょうか(えらそうですいません)。普段どれぐらい面白い映画みてるんでしょうか。面白いポイントはいくつもあったのですが、怪物登場のシーンの日常の崩壊に全く反応しきれない感じがたまらん。音楽聴いていた美人はあれだけのためでもやはり必要だったわけです。箱の中から血に濡れた手が助けを求めてバタつくところの恐ろしさったら…。合同焼香式のシーン、ここで始めてパク一家全員が集合して家族それぞれの関係性がわかり始める重要な場面なんですが、ひとりひとりの悲嘆にくれるリアクションについで、弟が倒れた瞬間に俯瞰からのショットに写り、駐車違反を告げる巡査が入ってくる一連の流れが圧倒的です。黄色のオッサンがずっこけたり、悲しいシーンに笑いの要素を放り込んでカオスにしてくるあたり、ポン・ジュノ初めて観ましたがこの人サイコパスか?トドメを締めたぺ・ドゥナは無茶苦茶カッコよかったし、終わりに向かってダメそうだった家族が覚悟をたたえた顔になっていくのも王道感MAX。盗人だった少年は新しい家族として迎えられます。韓国における在韓米軍の問題ほど前景化してはいませんが、父親と長男、盗人兄弟の人物設定をみると貧困の問題にも監督が関心を寄せていることがわかります。怪物が人災の結果生まれたものである点では偉大なゴジラの系譜にも連なっています。アジアの偉大な怪物映画の系譜を礼賛しつつ、『パラサイト』を心待ちにします。
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