Melko

狼よさらばのMelkoのレビュー・感想・評価

狼よさらば(1974年製作の映画)
3.6
「我々が開拓者でないなら、我々は何なのだろう?恐怖に直面した時に、何もできず、ただ逃げて隠れるだけの人々を、何と呼ぶのだろう?」
「文明人?」
「いや、違うね」

思っていたよりも、軽くサッパリした作品だった。
70年代前半のN.Y.ってホントにこんなに治安悪かったのかなぁ、絶対やだなぁ。
もちろん女の一人歩きなんて出来なさそうだけど、昼間でも関係なく強盗や殺人がそこらじゅうで起きてたなんて。

建築設計技師ポール・カージー。ある日、街のチンピラ3人組が強盗目的で彼の自宅に押し入る。居合わせた妻と娘。激しい暴行の末に妻は亡くなり、レイプされた娘は廃人のように…。その時仕事で不在だったポール。深い悲しみの後、出張先で銃を手に入れる。そこから彼は、強盗へ銃を向け始める…

犯罪が頻発している街。
警官や警察はそこそこ人数いるように見えたが、犯罪件数が減ってないことを見ると、単に仕事が出来てないだけなのでは?と厳しい捉え方も出来てしまう。
警察が守ってくれないなら、自分の身は自分で守るしかない。
刃物を向けられたら銃を。
銃を向けられても、銃を。

平和そのものの序盤のハワイ旅行から一転、トラウマ級の悲惨な暴行シーン。
チンピラ役に若き日のジェフ・ゴールドブラムが!

悲しみと苦しみの中、夜な夜な自警活動をするポール。
深いシワが刻まれたチャールズ・ブロンソンの顔は、終始無表情。戸惑いながらの最初の犯行。慣れてくると、チンピラたちに対して段々と挑戦的に、挑発的になってくる。

超人ではないから、自らも怪我を負う。
たぶん、死ぬ気でやってる。
失うものなどない覚悟でやってる。
警察からの脅しなんてどこ吹く風。

「アマチュア刑事」と言われた彼。
街の人間たちも感化されてくる。
靴下にコインを束で入れると即席の武器になるのか〜

悪に自ら手を下すことは、悪なのだろうか?

あれだけ仏頂面だったポールの、ラストの弾けるようなお茶目な笑顔、ウィンク。でもその指は、チンピラを捉えている…

願わくばあの憎き3人組を探し出して鉄槌を下して欲しかったな…
あ、私もアチラ側の人間なのかな…
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